先祖代々伝わる土地に、二世帯住宅を建て替えられたS様ご家族様。
今回は、現在お住まいのお父様と、今回主となり建て替えを行われた息子さんご夫妻の3名にお話しをお聞きいたしました。
長い時間をかけた大切な家の建て直しは、紆余曲折波乱万丈。
代表工藤と建築士の小坂田と共に、絶えない笑いの中で紆余曲折の家づくりにについてお伺いいたしました。
--建て替えを考えられたきっかけを教えてください。
お父様―ここにはもともと古い平屋の家があったんです。
築50年とか、60年とか。
築年数がはっきりしないほど古い家があったんですが、その家に妻(ご主人のお母様)の母親が一人で住んでたんです。
ご主人―祖母の介護が必要になったので、父(お父様)と母(お母様)がこちらに移り住んだのを機に、元々両親が住んでた家に結婚して子供ができた僕ら家族が住み始めたんです。
その家も、父が建てた家で僕が3歳の時に建った家なんで40年は経ってるんです。
そのせいか、セールスの電話が毎日のようにかかってきて、屋根がどうだ、壁がどうだと言われるんです。
奥様―そんな日が続く中、家のメンテナンスのサイクルを考えないとあかんなって、私が思い始めたのが、多分一番最初の切っ掛けです。
今住んでる家(お父様が建てられた家)に後どれだけ住むのか、そして、この家はどうするんやって。
--理想的と言われるサイクル、親子で住み替えを行われているんですね。
奥様―そうなんですけど、実際のところ箱としての家が古いために悪いところも出てきてるんです。
昔は家って、築30年って言われてたじゃないですか。
もう、築40年なんで。
ご主人―住む前にメンテナンスしたんですが、これからも10年20年経った時。
修理しながら住み続けるのか悩んでいたんですが、それ以前にこっちの家。
耐震性に不安があって。
お父様―窓閉まらへんとこもあったからね。
--確かに、大切なご両親が住まわれている家が耐震性や寒さがきついと心配ですし不安ですよね。
ご主人―そうなんです。
地震とかも増えてますし、余計にいつまでも住めないよねと。
住み続けるためには建て替えるしかないし、でも正直、後何年住むんや?って話になってくるんです。
自分たちが住んでる家も、40代以降に新しく建て替えるとなるとなかなか難しくて。
--そうですよね。
これから先となると、ローンに対する不安も大きくなりますね。
ご主人―そうなんです。
であれば、今両親が住んでるこの家を建て替えて、住み続けてもらって。
いずれ私たちがリレーのように、この家に移ってくる形にすれば、この土地。
祖母が住んでたこの土地も継いでいけるし、ここを建て直すのが良いんじゃないかって話になったんです。
奥様―もともとの1番最初はそういうことだったんです。
--このお家は家族の理想的な形。お互いに対して大切なことを考えているからこその形だというのが、今のお話を伺うだけでもよく分かりました。
ご主人―なんですけど、実はその辺の話が家族でしっかり共有できたのは、工藤さんと出会って、一緒に建て始めてからなんです。
--そうなんですか?それでは「共有」について具体的に教えてください。
ご主人―両親と、私たちそれぞれで考えてたんです。家のことを。
お父様―そうなんです。
ご主人―この家は元々、祖母の家だったんですが、実は建て替えようかって話が出たのは、両親が祖母を介護していた時期なんです。
亡くなったら建て替えようかって話をするのは、感じのいいことじゃないじゃないですか。
でも、両親のこれからを考えると、このままではいけないという思いもあって。
--確かに、お母様の気持ちとしても、考えたくない話ですね。
ご主人―そうなんです。
親には相談できない内容だけど、実際不安。耐震強度もない、めちゃくちゃ寒いこの家に(両親が)住み続けるのは心配で。
少しでも早く、新しく住みやすい家に住んでほしいなと思ったら、言いにくい話ですが祖母が生きている間に、こっちはこっちで少しでも調べておかないとあかんなとなっていました。
--実際、必要に迫られてから動き出すのでは遅いですからね。
奥様―そうなんです、時間もかかるしお金もかかるし、失敗もするしっていう。
そう思ったので、調べるのはだいぶ以前から始めていました。
--そうなんですね、それはご夫婦だけで調べられていたのでしょうか?
ご主人―最初はそんな感じです。
妻が調べ始めたって言い出したのが2016年ぐらいなんです。
2017年に住宅展示場にも行き始めたので。
--当初はハウスメーカーも考えられていたのですね。
奥様―一番最初は何も分からないから、とりあえず住宅展示場に行こうかって感じでした。
ご主人―知識が何もなかったので、家を建てるならCMもしてるし展示場もあるし。
明日休みやし、見に行こうかって。そんな軽い感じで。
そもそも家って、なんなんやろう。どうやって建てるんやろうってことも知らなかったので。
--確かに、家を建てられた経験があるのはお父様だけですよね。
奥様―そうなんです。我々はリフォームしか経験が無くて。
ご主人―なので、一年ぐらいはいろんなところを回って調べていきました。
そんな中で、いろんな会社の話を聞いていると、なんか・・・こっちではすごく良いことを言ってるんですけど、こっちの会社に聞いたら、あの会社はあかんでって言われたり。
なんでダメなんですか?って聞くんですが、皆さん説明はしてくれない。
結局、何を根拠に家を建てたら良いのか分からなくなってきたんです。
奥様―そこで、本を読み漁ったんです。
主人が図書館で森さんとか松尾さんとかの本を借りまくったんです。
ご主人―すごく読みました。専門書に近いものとかも読みだして、家の勉強を始めたんです。
--専門書を読むのはしんどくなかったんでしょうか?
奥様―元々読むのが大好きなんですが、用語から調べたのが良かったと思います。
その前は、住宅展示場にとりあえず行ったので、高断熱高気密とかの話をされても何を言われているか分からないんです。
なので、まずは言ってた言葉をネットで調べて、ヒットした本を図書館で予約して読んでいくという流れにしました。
一個一個の言葉を次々調べていくと、話が全部つながっていくので。
家づくりの知識を得るなら、分からない言葉を調べるのが一番早いと思います。
1つ言葉を調べると、また分からない言葉が出てくるので、次はその言葉を調べていく。
そうするといつの間にか、本がスラスラ読めて理解できるようになるので。
--ありがとうございます。
ご子息の世帯ではそのような動きをされていたということですが、お父様はお話をお聞きしていかがだったのでしょうか?
お父様―義母が無くなった頃に、初めて「この家をどうする?」って子供が言いに来たんです。
その話を聞いたとき、家内と二人、この家も60年過ぎるけどこうやって頑張ってる。
阪神淡路大震災の時も、周り何軒か倒壊したりもしたんですけど、この家は残ってくれたんで。
壁は割れて、ひび割れして。隙間風も入ってくるから、ビニールで覆ったりもしてたんです。
床からも寒気がどんどん上がってくる。
夏は夏で、窓から陽が入ってくるのでとにかく暑いというのはあったんで、不自由な暮らしはしてたんですけど。
でも、後も残り少ないねんから、不自由でも我慢して暮らしたらええやんか、悪いとこ直しながら暮らしたらええやんって家内と言ってたんです。
そしたら息子らが、ここを建て替えたら自分たちも、次住み続けるって言ったんです。
この土地はいずれ手放さなあかんのかなって思ってたんですけど、息子らが住み続けるって言ってくれるんやったら、その話に乗ってみても良いなと思い、気持ちが建て替えに向きました。
--大変失礼な質問なんですが、おばあ様が建て替えを嫌がられたことで、先にというお話になったのでしょうか?
奥様―いえ、介護状態で祖母を動かせなかったんです。
引っ越しができない状態だったので、今の家で何事もなく最後まで無事に過ごして欲しいという思いでした。
地震とか来てしまったら、それが叶わなくなってしまうので。
その上で、介護が終わったら両親には少しでも早く少しでも長く快適に暮らして欲しいって思ってたので。
--すごい愛情ですね。
ご主人―そうですか?ずっと父と母が自宅で介護しているの見てきたので。
ずっと見ていると、やっぱり代々受け継ぐじゃないですか。
祖母より前の世代から住んでいた土地なので、やっぱり残したいじゃないですか。
--それは確かにこれからも大事に守っていきたい、思いのこもった土地ですよね。
その点が共通認識だったということですね。
では、話が戻るのですが、家の建て替えをご提案されたのはいつ頃なんでしょうか?
ご主人―祖母が亡くなった後(2020年)です。
それまで3年ぐらいずっと、夫婦で色々調べて、当時は建てるハウスメーカーも決めてたんです。
建てるんやったらここって。
奥様―祖母が亡くなった後、しばらくして家族で話し合った後、実は建てようと思ってたハウスメーカーと設計契約をしたんです。
ご主人―契約から半年ぐらい、設計が完成するところまで話も進んでいたのですが、途中で中止になりました。
--設計契約を結ぶということは費用も発生したかと思います。それが中止になったとは、何があったのでしょうか?
ご主人―結局、ハウスメーカーが想定してないタイプの住み方なんです、2世帯住宅は。
一般的には、家族3人とか4人とか。夫婦と小さい子供で住める家っていうのが、ベースに考えられているんです。
そのベースに対して、2世帯住宅の希望ってすごくずれているんです。
家の中に階段2つ欲しいとか、お風呂2つ欲しいとか。そんなの普通の家のプランには入ってないじゃないですか。
奥様―結果、全部追加料金なんです。
※ここから、ご契約されたハウスメーカーについて詳しくお話しいただいたのですが、社名や、社名に繋がる情報は全て伏せさせていただきます。
奥様―契約した会社の方針が途中で変わったのか、それまでは柔軟に話を聞いてくれていたのに、途中から「基本プラン」っていうものが出てきて、いきなり家を1.5軒~2軒建てるぐらいの金額に総額が跳ね上がったんです。
ちょうどその時期、ウッドショックもあったので工期のスケジュールもどんどん遅れていくし、金額もどんどん上がってきてしまって、最終的にはいくらで建てられるか分からないみたいな話になってしまったんです。
ご主人―そんな状況なのに、全体のスケジュール的に来週から家を解体しないといけないらしく「とりあえず潰していいですか?」みたいに聞かれたんです。
--それは、ありえないですね。
来週って、現在ご両親が住まわれているわけですし、無謀な話だと思いますが。
ご主人―結局、その辺りの説明がこちらが思っていたのと違ったんですよね。
向こうは説明しているつもりだけど、こちらは前(会社の方針が変わる前)に聞いてた話と違うと思ってるんで。
2020年の冬が一番大変でしたね、コロナ禍で意志の疎通が取りづらくなっている状況で、このまま進めるのはあまりにも不安だったこともありました。
両親も一体総額いくらかかるのかってことをすごく気にしていたんですが、私も分からないとしか答えようが無くて。
なのにハウスメーカーからは「もう段取りしてるから早く工事スタートさせてくれ」って言われるし。
板挟みの状態で、その後、思ってた家が建てられないなっていう話になって、解約になったんです。
--しかし、その形はお施主さんファーストの家造りではありませんね。
ところで、ハウスメーカーは二世帯住宅が得意な会社もございますが、他にも当たられたのでしょうか?
奥様―はい、有名どころは全部話を聞きました。
ただ、気密が取れないんです、どこの会社も。
契約したハウスメーカーは、その点(気密をとるの)が得意だったので、融通も利くし良いなと思ったんです。
ご主人―ギリギリ何とか行けそうなハウスメーカーが他にもあったんですが、割高だったんです。
あと、モデルがあることに抵抗があったんです。
住宅展示場に行ったとき、今年のモデル新型キャンペーンをやっていて、この家は来年になったら中古というか、電化製品みたいに前のモデルになってしまうのか?と心配になったんです。
--家で、モデルってよく考えるとすごい話ですよね。
実際修理とか発生するのって、10年とか後じゃないですか。
その時当時のモデルが無いって話もありそうです。
奥様―実は今の家がそうなんです。
ハウスメーカーの家なんですけど、当時の規格の製品が無いからもう修理できない、網戸一枚取り替えられないんです。
サイズが違うとか、オーダーになるとかで。
なので、ブランドにこだわるよりかは、長い目で見て修繕しやすい家にしたいという希望がありました。
複数の会社に話を聞きましたが、メンテナンスしやすい家を建ててもらえるなと実感したのは契約したハウスメーカーと、工藤さんのところだったんです。
ご主人―結局そのハウスメーカーで建てるのはやめたんですけど、家族のために家を建て替えるって言ってるのに、なんかすごい喧嘩にもなってしまってね。
せっかくここまで時間かけて調べて進めてるのに、今更やめんのかって想いと、金額の見えない不安とでしんどかったですね。
その後、私が代表してもう一度確認しに行ったら、会う人によって話が違ってくるし、家の取り壊しは来週に迫ってるしという状況で、最終的に「もうやめてくれ」って伝えて、全部解約したんです。
で、解約した後に家族で本当に家を建て替えないで終わるのか、別のところを探すのか色々相談しながら、ダメもとで工藤さんのところに相談したんです。
--工藤建築環境設計室はどのように知られたのでしょうか?
ご主人―工藤建築環境設計室っていうお名前は、新住協(新木造住宅技術研究協議会)の本を読んでいたときにマスター会員として会員名簿に載っていたので、2017年には名前は知ってたんです。
でも当時、設計士の建てる家って、とにかくデザインにこだわってる人が、自分だけの家みたいな作品を作るってイメージだったんです。
言葉悪いですけど、住みにくい家の代表格みたいな。
奥様―住みにくいっていうか、そんなにかっこよくなくて良いんですっていう思いがずっとありました。
とりあえず性能が一番で、デザイン的にカッコ良いとかおしゃれとか、そういうのはいらないんですってずっと思ってたんです。
ご主人―だから、うちにはずっと関係のない世界だと思ってたんです。
そのため、ハウスメーカーや工務店で探してたんですけど、そのハウスメーカーがダメになって。
その時たまたま姫路で高気密高断熱の家を建てている工務店がやっているYoutubeが気になって、相談をさせていただいたんです。
結果的には、距離が遠すぎて建てるのは無理との返事だったんですが、新住協のメンバーは勉強熱心だからそこで探したらどうかとアドバイスをいただいたんです。
そこで久しぶりに新住協の本を開いたら、工藤さんの名前が出てきたので1回相談してみようかなと思って行ったのが一番最初です。
色々ありすぎて家族でめちゃくちゃ喧嘩してた時だったので、ここで無理だったら建て替えは諦めようと思ってたんです。
その時はまだ、設計事務所は別世界だと思ってたんで、ダメだと思うけど、とにかく1回相談に行って、これで諦めるわって言ってから会いに行ったのが最初だったんです。
--工藤さんにお会いされるというのは、お父様的にどうだったのでしょうか?
一度契約解除になっていると、前回よりもさらに大きな不安を抱かれていたかと思います。
お父様―息子とそういう経緯があった後、工藤さんっていう設計事務所が近くにあると言われて、一回行かへんかって急に言われたんです。
名前聞いたこと無いなと思いつつ、設計の方がおられるんやったら行こうかって言って、2人で行ってみたんです。
お話を聞いたら、分離発注の話とか説明いただいて、実はこんな形で家を建てられますよっていうような感じで教えてもらったんです。
私はやっぱり値段のことが気になるんで。
分離発注をすることによっていろいろメリットがあることも分かるなとは思うんですけど、誰が選ぶんやろうと思ってその時に色々質問させてもらったんです。
そうしたら、任してもらったら我々の方で色々アドバイスしたり、選定したり考えますからって言いはるんです。
帰り道、子ども(ご主人)にこんな上手い話あるんかな?って言うたんです。
ご主人―「大丈夫か?今度も」って言われたんです。
お父様―またそんなん言うとるけどっていう風に言うたんです。
奥様―すでに信用がた落ちですから(笑
お父様―とは言いつつもね、話をしてた時にね、工藤さんの人柄っていうのはやっぱり感じますよ。
あの人は前の会社の人間とは違うなと。
前の会社の営業担当者は、質問しても真面目な答えが返ってこない感じがしたんです。今はぐらかされてるなって。
家を建てるんですから質問するのは当然でしょう。
営業やねんから、分からなかったら「分からない、勉強します」って言ってくれれば納得できるんだけど、適当な答えばかり言うなって思ったんです。
工藤さんにはそういう感じが無くて、『この人にお任せしたら大丈夫やな』って人柄を会ったときに感じたんです。
--そうなんですか?
ご主人―そうでした。
お父様―でも、息子が工藤さんところで建てるって言いに来た時は、二つ返事したんです。
「そうか」って。
--奥様もご納得されたのでしょうか?
ご主人―工藤さんのところには母も妻も一緒に行ってないんで、私が全部伝えました。
分離発注で安く建てられることも、一緒に建てましょうって言ってくれた設計士の人が真面目で信頼できそうな人だって伝えました。
--ここまでかなり時間を要されましたが、そこからはとんとん拍子で進んでいけたのでしょうか?
奥様―早かったと思います。
ご主人―2021年の夏前に前の会社との契約が解約になって、2021年の7月初めに最初は一人で工藤さんとお会いしたんです。
色々質問させていただいて、全部お答えをいただいて。
信頼できるなと思ったので、親に一緒に行ってくれへんかって言ったのが8月。
そのまま9月の頭ぐらいにはプランを作ってくれて、話が進んだんです。
--すごい早さですね。
奥様―それはもう私が早さの原因ですね。
いつまでも古い家に住んでいるのはもったいないじゃないですか。
心配ですし不安ですし。
せっかく新しくするんだったら、ちょっとでも長く快適に過ごしてほしいと思ったんで、やるんだったら早くやりましょうっていう感じだったと思います。
工藤―S様は初めてのお客さんって感じでドア開けはったのに、スタートからなんかエンジン全開みたいな感じでした。
奥様―そういうのあったと思います。
大体自分たちに必要な物が描けていたので。
工藤―初めましてやのに、そっから始まるの!?みたいなところから話が始まったと記憶してます。
やりやすいというと語弊がありますけど、とにかくよく分かってらっしゃったので。
あれだけ知識をお持ちの方にはすべてを説明する必要は無いし、こんなん無駄ですよっていうことも無かったんです。
奥様―無駄って言ったら、ドアが2つ付いてる階段を要望したら、いろんなハウスメーカーでめちゃくちゃ無駄って言われましたよ。
でも、この家は駅がとても近いんで、息子が大学に入ったら、両親が下に住んでる状態で、下宿させたら良いかなって思ってたんです。
ご主人―家を建て替えるって考えだした時、何年後にこの家に誰が住んでるかなっていうのをざっと考えたんです。
最初は両親が二人で住み始めて、元気なうちはずっと二人で住んでるやろうし。
それだったら2世帯住宅の2階も使って色々したら良いんちゃうかなと思ってたんです。
ある程度歳行って、80代になってきて不便を感じるようになってきたら、僕らが時々様子を見に来たりするんかなって想像したり。
そのころ大学生の子どもが、2階に下宿みたいな感じで住んでるかもしれへんなとか。
その後、両親どちらか1人が調子悪いとか亡くなったとかってなったら、同居してずっと介護していけたらいいなって。
それにはこれぐらいしっかり持つ家が良いなと思ってました。
この家は、基本的に若い人が子育てするっていうのはほぼ無いと思います。
どちらかといえば、中年から老年の人たちが住むための家なんで。
特に1階は凄いバリアフリーにこだわって、スイッチの高さはちょっと低めにしたり、コンセントはちょっと高めにしたりとか、歳をとっても住みやすい間取りにしてほしいって伝えてました。
--スイッチの高さまで希望があったとお聞きすると、かなり明確な要望と目的があったということが分かりますね。
奥様―明確過ぎて、ハウスメーカーの決まっているプランでは絶対に収まらない。
どの会社に持って行っても収まらなかったです。
二世帯住宅は作ってはくれるんですけど、1階は全部バリアフリーにしてというプラン自体無いんです。
某ハウスメーカーだと、めちゃくちゃ狭い階段で2階に上がらないと行けなかったりするんで。
--確かにそういったお話をお聞きさせていただくと、既存のパッケージされてる住宅では絶対に無理ですね。
工藤―設計事務所だったら一から設計するんで自由に組めますよね。
基本プランとオプションプランみたいなものが無いんで。
分離発注だから好きに選べますし。
奥様―そうなんです!
それ凄い思ったんです。
ハウスメーカーで、基本プランはトイレに手洗いが付いてるんですけど、手洗いを付けないグレードを落としたトイレにしたいと伝えると、お金がかかるんです。
ここは付いてないやつにしてくださいって言うと、2万円アップですって言われるんです。
--安いものに変えるのにですか?
ご主人―そうなんです。上がるんです。
奥様―パッケージングされているんで、そこから外れるとお金が発生するんです。
ハウスメーカーからすると、トイレとか大量発注して買ってるからこの値段ですけど、そうじゃないものを選ぶと、定価は低いかもしれないけど、会社の支払いが上がるんでっていうことがいっぱいありました。
ご主人―一般的な感覚で言うと、いらないって言うとその分安くなると思うじゃないですか。
お風呂のカウンターも無しにする方が高くなったりするんです。
うちがやりたいことは、そういうパッケージに入ってないことばっかりだったんです。
--家を建てるためにイメージされている暮らし方とご説明がとても明確ですが、積み重ねられた経験からなのか、2016年から勉強されて得られた知識の蓄積からなんでしょうか?
奥様―まずは、私がすごく冷え性で、寒い家が嫌だったんです。
今住んでる家は、この家を建て替える前の家よりも新しいんですけど、それでもやっぱりどこかから風が入ってきて寒いんです。
だから暖かい家を売りにしているハウスメーカーに行ったところ、高断熱高気密って、気密が大事なんですよって教えてもらったんです。
そこから気密って何ぞやみたいな勉強をし始めました。
気密が取れる会社が最低ラインになったので。
それから、家の中でどう過ごしたいのか考えるようになって、自分たちはどう、子供の年齢はっていう風に考えていきました。
ただ、子どもや私たちの未来も分からないし、両親もどんな風に暮らしているのか分からなかったんです実際のところは。
でも、冬暖かかったらどうにかなるんちゃうかなって思う部分があったんです。
夏の冷房はきちんと涼しくなるけど、冬は暖房付けててもどこか寒いっていうのがあったので。
--確かに、少しでも長く元気でいていただくために大切なことは、暑さ寒さ対策かなと思いますね。
ご主人―そうなんです。
親が歳行って、親の介護の本とかも夫婦で読んだりしてたんで。
やっぱり体が悪くなってから介護にお金かけるより、家にお金かけて快適で元気に住んでくれる方が良いなって思いました。
--確かにそうですね。
私の周りでも、今年は熱中症で倒れられて、お若いんですけど後遺症が残られた方の話を聞きました。
そういった話がニュースではなく、昨今の暑さで身近になってきましたが、楽になられましたか?
お父様―今の話なんですけど、実は私の父はそれになったんです。
その経験から思ったらね、本当に子どもたちがね。
年寄りが末永く快適に過ごせる家ということで、夫婦というか我々で元気に過ごせるような形を息子夫婦が考えてくれたので、非常に喜んでます。
バリアフリーの畳の寝室とかも作ってくれて、アイデアいっぱい取り入れてくれて満足してます。
--元気だったお年寄りが体調崩される原因は転倒だと聞いています。温度だけでなく、そちらの対策もしっかり施されているんですね。
ご主人―そうなんです。
その辺は工藤さんのところでもあまりない相談依頼だったと思うのですが、工藤さんも小坂田さんもすごく調べながら一緒に作り上げてくれました。
工藤―ある意味僕らも、勉強させてもらいながら最適解を出していった感はありますね。
メーカーで体感してくださったことを設計に取り入れていったというか。
--工藤さんにお伝えされたバリアフリーの体感について教えてください。
ご主人―バリアフリーの研究館みたいなのがあるので、体験に行きました。
そこでスケッチをして、工藤さんにお渡ししたんです。
--それはご家族皆さんで行かれたのでしょうか?
お父様―いえ、私らは行ってません。
設計とかに関しては全て息子夫婦がしてくれました。
私らは、出来上がったこの家に住み始めただけです。
--え!?そうなんですか?
正直な話、ここは意見を言っておきたかったというのは無いのでしょうか?
お父様―最初はね、色々あーもこーもと思ったんです。
でもあれもこれも言ってもなかなかまとまらない形になるっていうのは、前の会社の時に経験してるんで。
息子夫婦はよく考えてくれて、しょっちゅうこちらを心配した提案をしてくれるんで、もう任しとこうかっていうことでこんな形になりました。
だから家の中見てもらっても、玄関の高さ(玄関とホールの段差)も低いし、右の端には靴を履くために座りやすい高さのベンチも作ってくれてる。
いたるところにはじめから手すりも付けてくれてね。
台所の幅もね、不自由になっても車いすで用事ができるように考えられてるんです。
非常に細かい注文を付けてくれて、それを小坂田さんが全部設計に組み入れてくれたって聞いてます。
--家づくりは、家族で住むための家を建てるだけでも大変な思いをすると言われていますが、両親への想いと愛情を家という形にするのは想像を絶するほど大変だったと思います。
どうやって乗り越えられたのでしょうか?
ご主人―確かに綺麗な言葉で言ったら愛情なんです。
でもそれだけじゃなくて、実際介護が必要になったら誰がすんねんって話になる。
自分たちが介護するんだったら少しでも介護しやすい家が良いし、楽したいし、ずっと先のことであってほしいし。
自分たちが70歳を過ぎたころ、老後暮らすことにもなることも考えたりもしました。
結局自分たちのことしか考えてないかもしれません。
親のためっていうのと、自分のためっていうのと、自分たちが子供に迷惑をかけないようにするためを考えた結果、この家が出来上がったという感じですね。
--いや、その当事者意識に脱帽です。
奥様―そうですか?
でもそれが事実で現実ですから。
ここから話は、スタッフのことへと流れていきます。
始めはとっつきにくそうと言われる工藤建築環境設計室のスタッフが、お施主さんとの関わりの中でどう印象が変わっていったのか。
聞かせていただきました。
お父様ー小坂田さんの話が出たので、ちょっと話変えてもいいでしょうか。
小坂田さん、非常にお世話になったんですが、最初のイメージは非常にセールストークが少ない方で、初めて事務所に伺ったときも工藤さんの横に座っておられたんですが、とっつきにくそうで大丈夫かいなっていう気持ちになったんです。
ところが、いざ一緒に具体的に話が進みだしたら、細かいところとかも大変なことも必死で取り組んでくれました。
その熱心さとか、やってくれてる姿を見るにつけ、だんだんだんだん信頼感が出てきて、好感度が高まってきました。
非常にね、本当に良い家が出来上がったなった良かったなって思うんです。
細かいところにね、いろんなところが良くできてるなって感心させてもらってるんです。
--確かに小坂田さんは物事を丁寧に深く細かく考えられている分、営業トークは絶対にできない印象ですね。
奥様―イメージとして、工藤さんの名前が社名になっているので、私は工藤さんがメインで設計されてて、小坂田さんはサブというかサポーター的な役割分担がされていると思っていました。
でも小坂田さんがメインなんですよね。
で、ここぞという時に工藤さんが横から出てきて、「これはこうやって」言ってくれたりする。すごいチームワークだと思いました。
工藤―もちろん基本設計は僕がするんですけど、家の仕様の事とか、住設(住宅設備機器)のことは僕より小坂田の方が知識があると思ってるんです。
奥様―そうですよね、凄い詳しいと思いました。
ご主人―工藤さんと小坂田さん、それぞれの立場からアドバイスしてくれるんですよ。
だからこっちは選択がすごくしやすいんです。
あと、これはお二人そろって共通なんですけど、希望を伝えると絶対に「何でですか?」って理由を聞いてくれるんです。
何でですかって、否定的な言葉のようにも聞こえるかもしれないんですけど、例えばココ(リビング)のドアとかも、全部途中で幅広いやつに変えてもらったんです。
--特注ということでしょうか?
ご主人―そうなんです。
それをお願いしたときに、その時も「何でですか」って聞かれて。
車いすが通りやすい幅を確保したいからと理由を伝えたら、「それは優先順位がすごく高いですね」って、他のところの設計からやり直して変更してくれたんです。
家は決まった中で色々決めて行かないといけないからこそ、優先順位の低いところから変えていきましょうって。
普通なら、「今の設計だと無理です」で終わる話だと思うんです。
奥様―そうなんです。
何センチにしたいか聞くんじゃなくて、何がしたいのか聞いてくださるから、凄く伝えやすかったです。
工藤―それは僕らも感じてました。
家造りをやっていく中で、漠然とこうしてほしいって言われることが多かったんですが、奥さんは理由を言われるんで。
例えば、「これ、こうできませんか?なぜならこうしたいから」っていう理由が必ずあったので、それは凄いなって僕らも思ってました。
小坂田―結論の後に理由を言ってくださるので、凄く分かりやすかったです。
--確かに「こうしてほしい」の中身がなんとなくの場合って多いですよね。
でも絶対に、なんとなくなんてことは無いんですよね。理由があって希望していると思います。
だからこそせっかく伝えたのに、「こうじゃなかった」が多発するのは、施主がしっかり理由を伝えられてなかったり、設計士が希望の理由を意識しないことが原因かもしれませんね。
奥様―そうですね。
皆さん「こうしたい」と思ってることはいっぱいあるんですけど、言語化が難しいのかもしれません。
その点、私たちはハウスメーカーの一貫したファミリー向けパッケージの中で何とか、老いた両親が使いやすく暮らしやすい家を建てようとした経験があった分、意図が明確になり伝えやすくなったのかもしれません。
(ハウスメーカーでは)細かい調整が一切できないのに、何とかって思って伝えてましたから。
--そうすると、天井知らずに価格が上がっていったということですね。
奥様―そうなんです。どんどんどんどん(笑
ご主人―でも工藤さんのところは、予算的なことも考えて、違う方向でこうやったら予算をもっと下げながら実現出来るっていうことを提案してくれるんです。
これしたいって、理由と共に伝えることで、優先順位を考えながら裏で色々調べてくれるんだろうなっていう信頼がありました。
奥様―あとは、私たちは家づくりが初めてですけど、工藤さんたちはやはりご経験が豊富にあるので。
前に同じようなパターンでされた方がいらっしゃいますが、それはどうですかって聞いてくれたりもありました。
お父様―感心することが多かったですね。
細かい話ですけど、バリアフリーという言葉の形で言えば、床面で足が躓かないようになっているんだと思うんですけど、うちはドアがずっと続いてるんですが、桟自体が無いんです。
板の間ばっかりが繋がっているから、躓きようがない。
細かいようなんですけど、いざ住んでみると凄くありがたみが分かる。
奥様―これは小坂田さんの提案です。
--そうなんですね!時間が経つと埋め込んだ桟が浮いてきてしまい、余計に危ないという話は聞いたことがあります。
奥様―そうなんですね。でも確かにありそうですね。
小坂田さんは場所に合わせて、吊だったり下に桟があるやつだったりで。
場所や用途によって使い分けてくれるんです。
お父様―使う人のことを考えたアイデアが入ってるって気がするでしょう。
奥様―すごく細かいなって思うんです。
家ってパーツすごく多いじゃないですか、なのに、一か所ずつ丁寧に考えてくださったんです。
窓とかドアの一覧表とか。何枚もあるって、家族で言ったりしたんです。
--確かに、分離発注の場合は余計にそういう点も明確になりますし、紙が膨大になりますね。
奥様―そうなんです、全部出てくるんです。
このタイミングでちょうど12時に差し掛かりました。
お父様が見てほしいものがあると、お部屋の中全体を眺められた後、家の心地良さについて話始められました。
お父様―自慢なんですけどね、部屋の中見てください。
ちょうど12時にもかかわらず、部屋の中は影になってるんです。
日差しが入って欲しい寒い時期は入ってくるけど、いらない時期(夏)は入ってこないんです。
これがうまいことできてて、ずっと快適なんです。
部屋の中は影やけど、すぐそこの庭には日が差し込むので、余計に気持ちが良い。
工藤さん―ちょうど夏の日差しを遮れるように考えているんです。
ご主人―建った時がちょうど3月だったんで、その頃は陽がもっと低いので、日差しが入ってきて暖かかったんです。
お父様―ちょうど私が座ってる椅子ぐらいまで陽が差し込むんです。
--パソコン仕事もこちらの椅子でされてるんでしょうか?
お父様―そうですね、ずっとここへ置いてるんで。
この家の自慢の1つなんです。
季節ごとに太陽の位置が違って心地が良い。
--なるほど、大切なことですね。季節ごとに太陽の強さや感覚も違いますし、遮りたい季節、取り込みたい季節それぞれありますから。
このような設計方法をパッシブデザインといいますが、希望されたのでしょうか。
奥様―そうなんです。
希望としてはその設計ができる人っていうのも強くあったんです。
工藤さんのところは設計事務所さんなので、元々設計ありきでその点は心配なかったです。
ただ、ハウスメーカーだと、家が敷地の形状に対してどう建つかが重要なんですよね。
おしゃれにする目的もあるのかもしれないんですけど、普通に西窓が大きい。
陽を全然遮れないとか、庇が無いとか。見学しててもそんなんばっかりでした。
--なるほど、確かに良くお聞きしますね。
この間、知り合いからお伺いした話は、二階の部屋の温度が真夏は50度を超える。
奥様―それは何故?
--西側に天窓と巨大窓が付いてるんです。
奥様―あかんな・・・あかんな・・・。
--だからもう2階に上がれなくてというお話をお聞きしました。
奥様―ですよね。だと思います。それは大変だわ。
--で、冬場は逆に天窓と巨大窓のせいでめちゃくちゃ寒い。
奥様―でしょうね。窓から入りますよね。
思いっきり冷気が。
工藤―ハウスメーカーさんは、営業設計は設計じゃないので。
ちゃんとした概念があまりないので。
僕らとは考え方が全然ちがうんですよね。
奥様―確かにそうですね。
近所にハウスメーカーの家が建ったんですけど、道に面して南側に庭を作ってるから、道路に面してて中が丸見えなんです。
工藤―多いですね・・・。
--すみません、うちの近所にも同じハウスメーカーの家が建ったんですが、そういう仕様なんでしょうか?
うちの方も丸見え、それこそ着替えとか迄丸見えなんです。
奥様―そういうのを考慮しないんです。
隣の家と窓が被らないようにするとか、ちょっと隠れるようにするとか、そういった点を考慮することが無いんです。
ご主人―この土地に家を建てるならじゃなくて、うちの家をこの土地に建てるならっていう感覚なんだと思います。
奥様―周りの環境とかを考慮しない設計が多いと思います。
うちが最初に契約した会社は、その点は大丈夫だったんですが。
ご主人―やっぱり何度も言いますが、大きかったのは積算、見積ですね。
だから工藤さんのところのように、必要な物だけ予算を上に積んでいくっていう考え方は、うちにとってはありがたかったですね。
--それはそうですよね。
実際のところ、この扉も特注じゃないと意味がないわけですからね。
奥様―そうなんです。
特注じゃないと、結局通れないんです。
だから、目的に合わせて選べる、金額が高くてもしっかり目的に合うっていうのが分離発注の一番のメリットじゃないかなって思いますね。
--分離発注、たぶん初めて耳にする言葉だったと思うのですが、最初どう思われましたか?
奥様―正直、邪魔くさそう!って思いました。
ご主人―単純に公共工事のイメージがありました。
家でこんなこと出来るんやっていうのがありました。
実は僕の職上柄、少し分かる点がありまして、その分、分離発注がいかにややこしいかもわかってるんです。
僕は行政と業者の間に入ってコーディネートする立場なんですけど、分離発注すると大変なことになるから、うちに丸投げしますっていう状態なんですね。
で、僕らが采配して発注かけていきますみたいな立場なんです。
なので、分離発注を住宅を建てる時にやる人がいるっていうのは、その時初めて知りました。
--なるほど、ではお父様はいかがでしたか?
お父様―最初の答えと一緒なんですけどね。
当初は、そんなのは夢の話だから、本当はできないと思いました。
確かに分離発注することによって、競争意識を持たせて安くなるっていう意味は分かるんです。
でも、じゃあ誰が選定して、最終的に正しい良い仕事をしてくるかどうかっていう管理とか。
そういうものがおろそかになるんじゃないかと思ってました。
理想だけど実際はいろんなことが不可能な世界に思ってたんです。
ところがね、実際は工藤さんのところに(業者を)選んでいただいて、ここだったらっていう業者に下見に来てもらってるんでしょうね。
たまたま私が現場を見に来た時に、現場を見に来られてた業者さんがいて、私がここの人間だと気が付かずに話しかけて来はったんですけど、どの業者さんもできるだけ安くなる方法は無いか、工夫できることは無いか考えてるくれてるみたいなんです。
その時もたまたま、若い子が電柱までの距離を測ってたんで、メジャーの端を持ったりしてちょっと手伝ったりもしたんですけど。
何をしてたかというと、電柱との距離を測って、トラックの種類を決めてたんです。
バックをさせる時に必要な距離、どうバックさせたら一番良いかとか。
トラックで一回に運べる量って大切なんですね。
どうしたら良いかとか、電話でもやり取りしてましてね。
努力されてるんです。
安くって言っても、悪い人が来てるんじゃなくて、信頼の出来そうな人たちがそれぞれに工夫をして、正しい競争に乗っかって分離発注という形をとってるなって感じました。
だから、努力してくれてる結果が、分離発注の良さに出てくるんやと思いました。
競争社会の中で業者を選べたら、良いところが選べて、良い仕事が出来るんやなって思いましたね。
例えば、水道工事をするために、敷地前の道路のアスファルトの工事をするんですが、前のアスファルトは市の道なんです。
その舗装だけを頼むのに、子供(ご主人)が下見に来てもらったら結構な値段がしたんです。
奥様―そうなんです!アスファルト結構高いんです!!
お父様―ところがね、水道工事屋さんが最後みんなひっくるめてやってくれると言ってくれて、前の道路も含めていくつかあったんですけど20万円ほどでやってくれたんです。
--それは安いんでしょうか?
お父様・ご主人・奥様―安すぎる、安すぎるんです。
奥様―アスファルトって、基本料金がめちゃくちゃ高いんです。
だから大きい面積だと確かに割安になるんですけど、家のように小さい面積を何か所かっていったら、めちゃくちゃ高くなるんです。
ご主人―職人さんが何人来る、機械を何台持ってくるとか。
施工範囲が大きくても小さくても1日来てくれるんで、やっぱり基本料金がすごく高くなるんです。
でも、業者さんと小坂田さんでスケジュールを調整しながら、全部一気に作業してくれたことでめちゃくちゃ安く抑えられたんです。
--これは工藤さんと小坂田さんにお聞きしたいのですが、実際競争というのはあるのでしょうか?
それとも、信頼している業者に任せる形になっているのでしょうか?
工藤―ものによります。
例えば大工さんや職人さんに競争というのは失礼やと思ってるんです。
それはやっぱりやったらダメなことだと思うんです。
でも、住設とか既製品とかでしたら、どこでも同じものなんで安ければ良いと思いうので、比べます。
奥様―いくつかありましたよね。
畳は2業者、床も2業者でした。
ご主人―得意不得意があると思うんですけど、値段の差が出るんです。
例えばサッシですけど、この1枚だったらA社が安いけど、家全体でコーディネートするならB社の方が安くなるといった形です。
--なるほど、そういった比較も分離発注だと明確になっているんですね。
奥様―凄く分かりやすかったですね。すごい量でしたけど(笑
--では、どこに頼むというのも、いくつか出された中から選ばれたのでしょうか?
奥様―そうです。
その時その時のタイミングで、そろそろ窓選定しますか。
A社はいくらです、B社はいくらです、標準はペアガラスなんでガラスが2枚ですけど、3枚のトリプルガラスにするなら、差額がいくらになるという感じです。
ペアガラスの見積もりだとA社が安いのに、トリプルガラスになるとB社の方が安くなるとか、それこそ色々あって、その時その時でこちらがどうしたいか、深堀して調べなおして、やっぱりトリプルガラスにしますってなったら、じゃあB社でとなる。
ご主人―そういうところまで見せてもらえるんですよ、分離発注だと。
奥様―凄い安心感ですよね。
まぁ、最初のA社B社っていうのを持ってきてくれるのは小坂田さんで、元々の選定をしてくださってるんだと思うんですけど、自分の中で自分で納得して選んだっていう納得感がすごくありました。
お父様―だから、逆に施工会社の場合は、工藤さんから「ここの業者」って言ってもらうんで選ぶわけじゃないんです。
けどそれがね、工藤さんと施工会社さんとの関係が良く出来ているんだなっていう風に思いましたね。
同じ仕事をするにしても、ちょっとでも安くなる方法が無いかって考えてやってくれたのが伝わってきました。
--確かにその通りですね。
工藤さんと小坂田さんが設計されたものでも、それはあくまで紙の上の話なわけで。
図面を形にするのは職人さんの腕にかかっている。
どれだけ良い設計をしても、職人さんの選定を失敗してしまうと、絶対形にはならないわけですから。
ご主人―工藤さんと職人さんの関係の良さは、みんな感じてたよね。
職人の人ら、みんな工藤さんのこと好きやなって。
工藤さんとの仕事楽しいんですっていう人が多かった。
奥様―思った思った、そういう人が多かった。
時々用事に来たりすると、職人さんだけ、大工さんだけって時があって、挨拶しながらどんな作業してるんですかとか、色々話をお聞きしていると、皆さん工藤さんの設計は面白いから建つのが楽しいんですって言われるんです。
無理なスケジュールとか値段とかも言わないんで、出来上がりが誇らしい家が建つので、職人として楽しい仕事やって。
工藤―僕らは結構意識してるんです。
当然、みんなにメリットが無いとダメだと思ってるんです。
みんな同じ家づくりの仲間なんで、誰かが赤字になるのは違いますし、逆に職人さんが妙に儲かってしまうのも、費用が無駄にかかってくるということなので。
みんな楽しくやっていけるのを常に意識してますね。
無理な値段や工程は絶対言わないし、結果としてみんな良くなる形が良いですね。
--実際どこかに無理が出ているときって、良いものが完成することはほぼないですよね。
最初の話ですが、「一週間後に家潰しますから」っていう件でも、そんな無理なことを言われても、実際行ったとしても絶対に無茶や強引なことが発生してしまう。
そうすると、家族の間にも歪が起こりますし、作業時間を短縮された業者さんや職人さんも丁寧な仕事ができるわけがない。
奥様―本当にそうだと思います。
そういう点が、分離発注で本当に良かったと思いました。
--では逆に、分離発注で大変だったことや改善点がございましたら教えてください。
奥様―書類まとめるのがしんどかったです。
契約書の束がすごいことになっていて、私は途中から見ていないです。
全部よろしく!みたいな。
ご主人―そうですね、打ち合わせの管理とかはネットで情報のやり取りをしてるんで、きっちりされてるんですけど、自分がそれを覚えて管理しとかないといけないっていうのが、結構大変でした。
その時々で、「そろそろ決める時期ですよ」って随時言ってくれるんですけど、打ち合わせ内容自体が、ファイルで6冊あります。
多分多い方だとは思うんです、何でも取っとくほうなので。
なので、これだけの量のスケジュール調整は結構大変だったかなと思います。
--分離発注をされてみて、向き不向きがあると思われましたか?
ご主人―あると思います。
全部まとめて任せたい人には向いてないと思います。
分離発注はどうしても作業で確認したいことがあるとか、立ち会ってほしいとか、都度対応していく必要があるので。
結局、業者さんとも職人さんとも契約しているのは、僕らなんで、僕らが立ち会わないといけない。
その点、ハウスメーカーや工務店は来たかったら来たら見学できますよってスタンスなんで。
分離発注はどうしても僕らが来ないと話が先に進まないとかになってくるので。
ある程度柔軟にスケジュール対応出来る人が向いていると思います。
お父さん―私も息子から何回か、その日行ってくれって言われて立ち会ったりしましたね。
私は結構楽しかったですね。
工藤さんの考え方も分かるし、職人さんからいろんな話も聞かせてもらったので。
そうそう、ちょっと話が変わるんですけど、この家の自慢がねもう一個。
2階が焼けない(暑くならない)っていうのがあるんです。
屋根の中に、モコフォーム(吹付ウレタン断熱)が入ってるんですけど、その施工の時に来たんですけど、職人さんが「普通の家はこれぐらいなんですけど、工藤さんのところはよその2倍は入れるんです」って笑いながら作業してくれてました。
そういう意味で、行くといろんな話が聞けたり、なぜこんなことしてるんやろうって思うことの意味を教えてもらえたりして。
例えば、シロアリ対策にしても、工藤さんのところは上の2階まで塗るんです。
普通だったら1階(地面から1mまで)で終わるんですけどね、実際に作業してるところを見ながら職人さんから直接話が聞けるんで安心感が違いますね。
--なぜ2階まで防蟻対策を施すのでしょうか?
工藤―標準ではないんですけど、今はシロアリの種類も増えました。地面から侵入するだけでなく、空を飛んでくるものもいれば、乾燥した木を食べるシロアリもいるので、やっぱり2階までしておくべきなんです。
金額が高すぎるなら考えるんでしょうけど、トータルで見るとそんなに大きな金額じゃないので、やるべきじゃないかなって考えています。
奥様―ハウスメーカーだと、2階まで塗るっていうのは完全にオプションなので、一気に金額が何十万円と跳ね上がるんです。
小坂田―うちは小屋組みまで防蟻対策を施します。
工藤―シロアリは今は屋根から入ってくるんで、小屋組みまでしっかり対策してる方が良いんです。
ご主人―そういうところがすごくて、トータルで見てた時にそんなに高くないからやるべきだとか提案くれるんです。
バランスとかをすごく考えてくれましたね。
例えば、屋根の断熱材をもう一段良いやつに変えたいって相談したんです。
屋根だし、水への耐久性が高い方が良いんじゃないかって相談したんですが、そもそも雨漏りや結露の対策をした工事してるんだし、高い断熱材だったので、今後の保険の保険にそこまでお金をかける必要はないって理由込みで説明してくれたんです。
その上で、屋根の防水をさらに強化することを提案してくれたんです。
それだったら、金額もそこまで上がらないから、そっちをやったら良いと言ってくれて、屋根を葺く前のルーフィングを一段良いやつに変えてもらいました。
奥様―主人は、元々仕事関係で、淡路瓦の組合の人と仕事をしていたので、淡路島の瓦を使いたいって言ってたんです。
もう二度と家を建てる機会はないだろうし。
だから淡路瓦にしたら良いって言ってたんですけど、前の会社だと屋根を瓦に変えると100万円以上変わってくるんで、主人は「僕の希望はもういい」って言ってたんです。
だから、工藤さんのところで建てるって決めたときには、瓦にしたいって最初から伝えてたんです。
でも、瓦が標準になってるハウスメーカーってないんですよね。
瓦にしたいって言うと一気に、価格が跳ね上がる。
--確かにそうですね。
瓦が標準となると、洋瓦の輸入住宅一択ですね。
工藤―そうなんです。そもそもね、和瓦を葺ける業者が少ないんです。
僕は西宮の老舗の瓦業者さんと親しくしてるので、施工してもらえるんですけど、業者との接点が無いところが多いのが本当のところですね。
お父様―でも、安かったね。
淡路瓦やのに、本当に安かった。
--先ほどから何度か「安かった」と口にされていますが、何を基準に安かったと判断されているのでしょうか?
家を建てる経験がある方はほぼいらっしゃらなくて、基準が無いと思うのですが。
満足感があると安いと感じるのでしょうか?
ご主人―僕らが安いって感じるのは、前の時(ハウスメーカー)に聞いてたからっていうのがあると思います。
トータルでこれぐらい、それこそ瓦に変えるとこれだけ変わると聞いていたので。
その金額が頭に入ってるので、こんなに安いのに僕の希望が通るの?っていう感覚でした。
--確かにそういう点で行くと、ハウスメーカーで最初に話を聞くというのは知識を付けたり、自分たちの目的を確認するという点では良いかもしれませんね。
奥様―そうですね。
実際、私は最初に行ったのが住宅展示場だったことが間違いだったと思っていません。
一度に色々なものや違いが見られますし。
ただ、失敗する人は営業が強いために、そのまま流されてしまって、自分が思ってたのと違うってなってるんじゃないかなと思うんです。
私たちも、完全に調べてるだけの状態だったにもかかわらず、「もう契約しましょう」みたいに言い出して。
「おばあさん介護してる状態で動かせないんで、今じゃないんです」って言っても、「じゃあ、先に仮契約で良いから」とか言われるんです。
--こちらからすると、「仮契約で良い」なんて良い訳ないですよね。
奥様―そうなんです。
「ちょっと待ってくださいよ」っていう状態で、囲まれてしまうんですね。
--確かにそう考えると、良い方法とは言えない。
もちろん、目的が明確でその家が欲しい!という方には良いと思いますが、考えてるだけの人にはなかなかリスクがありますね。
奥様―なんか、ふわーってなっちゃう感じがありましたよ。
--では、工藤建築環境設計室との家づくりの中で不安だったことを教えてください。
奥様―私は、コロナとウッドショックですね。
ウッドショックは、いくら上がるか分かりませんって業者さんに言われましたし、職人さんがコロナにかかってしまって現場にこれませんっていうのもありました。
これがずっと続いたらどうしようっていう不安はありました。
--この時期に建てられた皆さんが口にされている不安、社会的な要因ですね。
奥様―そうなんです、なので私たちの不安はこの時期に家を建てた人だけが該当する、共感できる内容だと思います。
--社会的要因以外に何かございますか?
ご主人―スケジュールですかね。
仕事をしながらだったので、全体的な予算とか、構造だったり間取りだったり、色々本で勉強してましたが、実際建てるのは初めての経験なので。
この作業終わったら次何するのか、あと何が残っているのか。
今月は来月は?みたいなのが、全然わからなかったのがちょっと不安でした。
業者さんとかは毎日のことなので、知ってて当然だと思うんですけど、僕らは初めてなのでもうちょっと先の見通しが分かると、休みを取る取らないが分かりやすかったかなと思います。
僕なんかは仕事のスケジュールを自分で組めるので、工程の見通しがあるとすごく良かったと思います。
ただ、天候の関係とか、それこそ僕らの場合コロナの関係とかでその通りに行かないんで難しいところはあると思うんですが。
--では次に、想像していた暮らし方はできていますか?
奥様―それ、私も両親にめちゃくちゃ聞きたかったです。
ご主人―たぶんすごい挑戦だったと思うんです。
父も母も、歳行ってから生活が変わるというのは、凄いストレスや負担だっと思うんです。
なので、凄く心配だったんで気になってたんです。
お父様―どちらかというと、イメージしてた暮らしではないですね。
それ以上の暮らしをさせてもらってます。
家はもう少し前にできてたんですが、落ち着いて生活が始められるようにということで、3月に入らせてもらったんです。
冬の終わりですが、まだ寒さの残る時期ですね。
朝がちょっと寒いなって日もあったんですけど、暖房もほとんど入れずに過ごしましたね。
奥様―そうなんですか!?
--今年の3月はいつまでも寒かったように記憶していますが。
お父様―朝は寒いなって思うんですけど、冷えてくるとか、隙間風が入ってくるとか言ったことが無いんです。
ある程度温度が保たれてるんかなと思うんですけど、熱が外に逃げていくことが無さそうなんです。
なので、暖房なしに過ごしました。
先ほど言ってた、断熱材の入ってる量が多いってこともあるんでしょうね。
すごく暖かかったですね。
次は夏なんですけど、今はクーラー入れてますけど、ついこの間までよっぽど暑いとクーラー入れますけど、昼間まではクーラーを入れることはほとんどないんです。
--今年はかなり厳しい暑さが続いておりますが。
お父様―第一種換気で換気されてるんですけど、サラッとしてる日は窓を開けて自然の風を感じるように過ごしていると、クーラーなしで昼までは過ごせるような感じです。
昼からはクーラー入れて過ごすんですけど、パワーもそんなに強くしなくても室温が保てるんでありがたいですね。
太陽光発電の発電量を見に行ったら、ほとんどいつも売り(売電)になっているので。
十分電気が余ってる生活ですね。
できるだけ料理とかを昼間にするようにして、だから電気代は月1000円~2000円ぐらいですね。
コンロもIHなので、ガスはお湯を沸かすことだけに使うんですけど、工藤さんのアドバイスで、太陽熱温水器を付けてるんで。
本当に安く生活できてます。
--太陽熱温水器とは?
お父様―太陽熱で水をお湯にする装置なんですけど、庭につけてるやつです。
基本80度のお湯が出てくるんですけど、今はこの暑さで95とか96度になってると思うんです。
なので、妻はずっと記録を取ってるんです。
湿度計と温度計と、温水器の水の温度と、発電量と。
どれぐらい得したっていうのが楽しいみたいで、ものすごく頭を楽しく使わしてもらってます。
なので、ガスはほとんど使うことが無いです。
--太陽光パネルや太陽熱温水器はどなたの希望だったのでしょうか。
工藤さんからおすすめされたのでしょうか。
奥様―うちの希望です。
新住協の本にも載ってて、一番の省エネは資源を無駄に使わないことだって書かれているんです。
その中でお湯を沸かすのが一番エネルギーがいるので、太陽熱で水を温めるのが良いと書かれているのを見ました。
ただ、太陽熱温水器はほとんどの会社が扱っていないんです。
今回家を建てるにあたって、付けたいと思ってもダメなんだろうなと半ばあきらめてたんですけど、工藤さんから省エネや資源を気にされるんでしたら、太陽熱温水器が無駄が無くってエコですよって言ってくれたんです。
付けれられるんだったら、付けたら良いですよって言ってくださって。
--そうだったのですね、実際工藤さんは何度かつけられたご経験があったのでしょうか?
工藤―もちろんあります。
メリットが大きいのも分かってたんですけど、物が大きいというデメリットがあるんで、設置できる条件がそろうことがあまりないんですよ。
--確かに設置しても、陽の当たらない場所だと意味が無さそうですね。
奥様―たまに屋根の上に乗せてるのを見かけることがあるんですけど、負担はあるんですか?
工藤―負担というよりも、メンテナンスを考えると屋根の上はあまり良くないんですよね。
メンテナンスしにくいんで。
ご主人―そうですね。
実際うちは、地面に直接置けるからつけようと思ったので。
奥様―それに屋根の上に乗せるとなると、太陽光パネルとどっちを優先するのかって話になってしまうんですよね。
うちは太陽光パネルと、雨水タンクは絶対につけたかったので、直置きしか考えられなかったですね。
--災害にとても強いお家ですね。
奥様―そうなんです。自分のところで完結できるようにしたかったんです。
--しかし、相当費用が掛かったと思うのですが、いかがでしょうか?
奥様―実はそんなに高くないんです。
特にうちが太陽光パネルを付けたときは、余った電気だけ売れるっていう方針に変わったので、本当に嬉しかったですね。
昔は、作った電気は全部売って、家で使う電気は買う全量買取制度が主流だったので。
だから、以前はIHに抵抗があったんですけど、今はガスをやめてコンロとかはIHにして良かったて思ってます。
お父様―だから、電気もお湯も気にせず使えるし、イメージ以上に良い暮らしをさせてもらってます。
更に付録として、年寄りにとってとても大事な頭を使う生活も送れてるので、本当に良かったですね。
奥様―それはまさか意外な効果でした(笑
お父様―妻がね、一生懸命努力して、いつも太陽光発電の量を見て、昼間にあれ作ってこれも出来るわ!あと何が出来るかな?って考えながら生活してるのがね。
煮込み料理は昼間に作るとか言って、全部作ってしまって夜はチンして食べるだけです。
奥様―その話、この間聞いてびっくりしました。
邪魔くさがると思ってたんです、実は。
今日は使えるとか使えへんとか、考えるの邪魔くさそうやなと思ってたんですけど、意外と楽しんでくれてるので。
お父様―何が一番電気食うとか、分かるようになりましたよ。
炊飯器が意外と電気食わなくて、はじめちょろちょろ中ぱっぱのぱっぱのとこだけ一気に電気の使用量が上がるとかも覚えてね。
ポットは何ワットとか、だんだん数字まで二人で覚えたりして楽しんでます。
元々妻が記録を取り始めたんですけど(笑
なので、電気はそんな感じで、ガスは基本料金のみの生活を送っています。
ただ、冬場とか雨の日は出てくるお湯の温度が低いんで、その時のお風呂のお湯張りはどうするか考えないとあかんなって思ってます。
奥様―太陽熱温水器で思い出したんですけど、庭の木。
全部元からある木なんです。
残したいなって思ってたんですけど、残せますよって言ってくれるところはほとんどなくて、みんな全部取ってしまうというところが多いんです。
でも工藤さんのところは残せますよって言ってくれたので、残せて良かったなって思っています。
工藤―残せるものは残した方が絶対良いと思ってて、植物は特に残した方が良いんです。
元からある木の方が良いんでね。
ご主人―そういう対応が、やっぱり設計事務所だなと思いますね。
出来る出来ないがはっきりしている。
ハウスメーカーは営業の方なので、現場の技術が分からないんですよね。
なので、分からないことは出来ませんって答えはるんです。
お父様―なので、全部まとめると、全部まとめて快適な生活ができてます。
奥様・ご主人―良かったです。本当に良かったです。イメージしてた暮らし方が出来て。
お父様―あ、もう一個イメージと違ったことがありました。
最近はもっと進んできて、電気が余るのがもったいないからバッテリー買いに行きたいって、蓄電池買いに行きたいって妻が言うてるんですよ(笑
一同―大盛り上がり(笑
--では最後に、これから家づくりを行う方へのアドバイスをお願いいたします。
お父様―では僕から。
1つ目は、出来上がった家が自然環境にうまく順応して住みやすい、心地良い家を作ることだと思います。
2つ目は、良い設計者と、良い施工をしてくれる人たちに出会うことやと思いました。
我々は自分たちにぴったりの人に出会えて本当に良かったなって思っています。
ご主人―近いところではあるんですけど、僕も2つあって、1つはやはり決めるまでに色々見てほしいと思います。
僕らも最終的に工藤さんのところに頼みましたが、それまでにも大きいハウスメーカーから、地場の中小工務店さんとかにも色々話を聞いて、最終的に設計事務所の話を聞いて一番合ってるところが見つかったので。
正解って1つじゃなくて、その人の暮らし方とか、どういう建て方がしたいかって希望によっても合う会社って違うと思うので。
同じところだけで話を聞いてるとそれ以外の話が入ってこないので、色々聞いた上でこそ、自分にぴったりな会社が見つかるんじゃないかと思います。
もう1つは、僕も最初は何を建てるかというところから家づくりに入ったんですが、最終的に終わってみると、誰と建てるかということが一番大事やったと思います。
やっぱり信頼できる人に頼むってことがすごく重要やったので。
これは僕の感覚ですが、何度か繰り返していくうちに、担当者の本質であったりとか、会社の本質っていうのが出てくると思っています。
家造りの場では、提示された方法について、質問を重ねていきますが、重ねたときにきちんと答えてくれる人と、はぐらかす人、分からないから調べますっていう人に分かれるんです。
そんな中で、うちの会社ではこういう理由だからこの方法を提案しますってしっかり説明できる人、そこが一番大事だなと思いましたね。
奥様―私も、確かに1度目の経験があるおかげで言われたことに対して判断できたということはあります。
ただ、私からのアドバイスは、経験もそうですけど、その前に用語とかはある程度自分で事前に調べておいて、ある程度判断できるようになっておいた方が良いと思います。
深堀しなくてもいいので。
あと、ハウスメーカーを否定するわけではなく、標準外の希望がいっぱいある方にはハウスメーカーでは希望の家を建てるのはなかなか難しいと思います。
でもそうじゃない場合は、パッケージ化された良さもあるので、ハウスメーカーも良いのかなと思います。
実際私たちも最初はハウスメーカーを考えていたわけですし。
ただ、暮らし方と希望に合わなかっただけなので。
なので、自分たちの希望する暮らし方、「理由」を伝えられるようになっていた方が、ハウスメーカーで建てるにしても、工務店で建てるにしても、建築家に頼むにしても良いんじゃないかと思います。