2017/02/22 | ブログエコ住宅・住環境・温熱環境お家のトラブル

軒の深い家は長持ちする

工藤住環境設計室の工藤です。

今回は木造建築物の軒の出についてお話致します。

日本の木造建築物は古来より、軒を深く造る事が一般的です。

何故なら、雨や雪などから建物を守る為です。

また、南面の深い軒は夏場の日射遮蔽にも効果が御座います。

当たり前の事ですよね。

 

現代の木造建築物(木造住宅)の軒の出はどうでしょう?

確かに都市部などの狭小地では、敷地に制限があり、深い軒が出せない事が多いです。

しかし、本当に敷地の問題だけなのでしょうか?

例えば工藤住環境設計室の事務所は宝塚市雲雀丘に御座います。

雲雀丘周辺は第一種低層住居専用地域で外壁後退1mのエリアです。

第一種低層住居専用地域は高さ制限があり、高い建物が建築出来ません。また、建ぺい率が50%以下なので敷地面積の半分しか建物を建てる事が出来ません。

外壁後退1mは敷地境界から外壁まで1m以上後退して建物を建てる必要が御座います。

 

上記の敷地条件であれば、物理的に深い軒が出せない事は御座いません。

しかし、軒の出が少ない又は全くない(軒0住宅)木造住宅が多数御座います。

 

理由は2つ考えられます。

 

1つの理由はコストが掛かるからです。

軒を支える垂木などの木材はそれほど高くないのですが、軒天井に貼る天井板や、それらの塗装にコストがかかります。

 

もう1つはデザイン的なものです。

例えば、建築主がどうしても軒の出の少ない若しくは軒0住宅を望んだ場合、設計者はそのリスクを説明する義務が御座います。

そのリスクとは雨漏れのリスクが高くなります。また、軒の深い家と比べ確実に外壁が劣化しやすく、汚れやすくなります。

 

何度も言いますが、深い軒は家を守ります。

家を長持ちさせます。

家を健全な状態に保ちます。

家の性能に大きく影響すると言っても過言では御座いません。

 

ちょっと地味な内容ですが家を建てる時は是非、軒の出にも注目いたしましょう!