軒の深い家は長持ちする
工藤住環境設計室の工藤です。
今回は木造建築物の軒の出についてお話致します。
日本の木造建築物は古来より、軒を深く造る事が一般的です。
何故なら、雨や雪などから建物を守る為です。
また、南面の深い軒は夏場の日射遮蔽にも効果が御座います。
当たり前の事ですよね。
現代の木造建築物(木造住宅)の軒の出はどうでしょう?
確かに都市部などの狭小地では、敷地に制限があり、深い軒が出せない事が多いです。
しかし、本当に敷地の問題だけなのでしょうか?
例えば工藤住環境設計室の事務所は宝塚市雲雀丘に御座います。
雲雀丘周辺は第一種低層住居専用地域で外壁後退1mのエリアです。
第一種低層住居専用地域は高さ制限があり、高い建物が建築出来ません。また、建ぺい率が50%以下なので敷地面積の半分しか建物を建てる事が出来ません。
外壁後退1mは敷地境界から外壁まで1m以上後退して建物を建てる必要が御座います。
上記の敷地条件であれば、物理的に深い軒が出せない事は御座いません。
しかし、軒の出が少ない又は全くない(軒0住宅)木造住宅が多数御座います。
理由は2つ考えられます。
1つの理由はコストが掛かるからです。
軒を支える垂木などの木材はそれほど高くないのですが、軒天井に貼る天井板や、それらの塗装にコストがかかります。
もう1つはデザイン的なものです。
例えば、建築主がどうしても軒の出の少ない若しくは軒0住宅を望んだ場合、設計者はそのリスクを説明する義務が御座います。
そのリスクとは雨漏れのリスクが高くなります。また、軒の深い家と比べ確実に外壁が劣化しやすく、汚れやすくなります。
何度も言いますが、深い軒は家を守ります。
家を長持ちさせます。
家を健全な状態に保ちます。
家の性能に大きく影響すると言っても過言では御座いません。
ちょっと地味な内容ですが家を建てる時は是非、軒の出にも注目いたしましょう!