コロナウイルス対策にはどの様な空調・換気が適しているのか?
工藤建築環境設計室の工藤です。
久しぶりのブログ更新です。
今回は今まさに猛威を振るっているコロナウイルスについて、住宅設計の専門家の立場からお話したいと思います。
先ず簡単に私の経歴についてお話したいと思います。
私は建築の専門学校を卒業しています。具体的には建築設備科という学科を卒業しています。建築設備科とは建築の中でも空調や換気、給排水などの建築設備について専門的に学ぶ学科です。
専門学校を卒業後は建築設備設計事務所に就職し、主にビルや公共建築物の空調・換気の設計を行ってきました。
その後、幾つかの建築設計事務所にて建築設計を行い、14年前に独立致しました。
一般的に建築設計を行っている方とは違う、少し変わった経歴です。
その経歴のおかげで一戸建て住宅においても、省エネや空調・換気の設計が得意です。
上記の設備設計者としての知識・経験から、コロナウイルスに感染しにくい室内環境についてお話したいと思います。
ご存知の通り、コロナウイルスの感染はくしゃみなどによってウイルスが拡散する飛沫感染が一般的に知られています。
アメリカの最新の研究では、その飛沫した微粒子(エアロゾル)に含まれるウイルスが3時間以上生存出来るとの発表がございました。
厚生労働省は「このエアロゾルによる感染の証拠はいまだない」とのことだが、ウイルスが生存した状態のエアロゾルを体内に吸い込んだ場合、ウイルスに感染してもおかしく無いと、私は考えています。
中国のレストランでの集団感染や、ダイヤモンドプリンセス号の集団感染を考えると、空調や換気によって運ばれたエアロゾルにより、感染した可能性は十分にあると思います。
では、住宅においてどのような空調や換気方式を採用すれば、出来るだけ家族に感染しない様に出来るのかをお話します。
例えばウイルスに感染した可能性のある者が出た場合、この者が滞在する部屋(隔離部屋)の空気を、その他の部屋と行き来しない様にする事が重要です。
具体的には、その隔離部屋に個別エアコンを設置し、その部屋だけで空調を完結する事によって、その他の部屋との空気の行き来を防ぎます。
また、換気は隔離部屋に排気の為の換気扇を設け、その他の部屋に給気口を設けます。この事により隔離部屋の気圧が下がり、その他の部屋への空気の流入を防ぐ事が出来ます。
当然、この空気の経路を上手く機能させるには、高気密住宅でないといけません。
隔離部屋と書くと何か重苦しい感じですが、簡単に表現すると個室にエアコンと換気扇をつけておけば良いのです。
その換気扇をロスナイなどの個別熱交換型換気扇とし、給気側の風量を少し絞ってあげるのも良い方法かと思います。(室内の圧力を下げる為)
最後に、この住宅内感染を防ぐ方法はコロナウイルスに限った事で無く、インフルエンザや風邪の場合にも有効な方法です。
住まう者すべてが健康で暮らせる家にする為、断熱・気密、そして空調・換気の計画はしっかり設計しましょう。