2023/07/01

池田市I様ご家族様のお声「家族にあった家の形」

家づくりを考え出されたタイミングから、迷いが生じた事柄。
そして、工藤建築環境設計室との出会いからお引渡し迄、思い出を語ってくださったI様ご家族様。
CM分離発注を採用され建てられたお家は、大きな庭とそとん壁と焼杉板を使用した外観が印象的です。
お子さんとニワトリ2羽が遊んでいる庭を眺めながら、代表工藤と建築士の小坂田と共に当時を振り返りながらじっくりとお話をお聞きました。

子供と将来の事、長い目で見た家づくりと土地選び

--家はとても大きな買い物ですが、このタイミングで一軒家を建てられようと考えられた切っ掛けを教えてください。

ご主人―マンションではなく一軒家を選んだのは、私も妻も実家が一軒家だったからです。
当たり前のようにゆくゆくは家を建てたいと思っていました。
このタイミングになったのは、子どもが小学校に上がるまでに建てられたら、引っ越しでかわいそうな思いをさせずに済むと思ったからです。

奥様―あとは、以前住んでいた賃貸が手狭になったことです。
長屋のイメージのメゾネットタイプを想像していただければ分かりやすいんですけど、本当に狭くって。

--お家を建てられたのはとても自然の多い場所ですが、以前もこのような場所で暮らされていたのでしょうか?

奥様―いえ、以前は兵庫県の伊丹に住んでいました。
そこも駅近ではなかったですが、道が平坦だったので便利なところでした。
その前は緑地公園に住んでいたのですが、そこは駅から2~3分の距離だったのでとても便利でした。

--ではずっと京阪神エリアの便利な場所にお住まいだったのですね。
こちらは便利とは少し遠いと思うのですが、何故この場所に決められたのでしょうか?

ご主人―私も妻も、大都会というかごみごみした場所はあまり好きじゃないんです。
2人とも実家が自然の多いところだったというのもあるのかもしれませんが、元々育った景色や空気、香りを求めたという感じです。

奥様―多分本能的に落ち着くんだと思います。

--都会と山の方では空気が違うというのはよく言われる話ですが、やはりその通りなんですね。
本能的に求めたというのが、分かりやすくて面白かったです。
では、以前お借りしていたところから新築に至るまで、引っ越してこられるまでどれぐらいの時間を要したのか教えてください。

ご主人―
まず、土地を決めるのにすごく時間がかかりまして。
工藤さんに相談していろんなところを見に行って、いろんな不動産屋さんに行ったり、人から紹介してもらったところを見に行ったりしたんですけどもなかなか決まらなかったんです。
この土地は工藤さんに出会う以前に職場の人に紹介してもらったんですけど、元々掘り込み車庫があったんです。

奥様―
実は当初、良いなと考えていたハウスメーカーがあったんです。
ただ、掘り込み車庫を崩すのをすごく嫌がられまして。

今ある車はとてもじゃないけど入れられないほど、掘り込み車庫は天井が低かったんです。
古い昔のセダンとかなら問題ないんでしょうけど、家が手狭になって引っ越しをするのに、車を小さくするのは違うな、不便だなと思って悩んでいました。

ご主人―多分家を建てようと決めて、動き始めるまでは、1年ぐらいだったと思います。

--その間色々情報収集をされたと思いますが、利用されたものを教えてください。

奥様―
ネットや雑誌を見ていました。
雑誌は、駅とかに置いてある「住みたいまちランキング」とかが載っているのを通勤時に見ていました。

後は住宅展示場にも足を運びました。
でも、すごくきれいにされているのでとても気を使いました。
入りかけてやめてという感じでした。

ご主人―なので、そんなに住宅展示場も頻繁には行ってなかったので、ほぼネットですね、youtubeとか。

奥様―インスタも結構見たりしていましたね。
すべて正しいかどうかは分からないですけど、情報としては良いなと思うポイントとかデザインとか。
収納の工夫とかがあったので。
あとは、同僚が近くに住んでいるので、その人が建てたハウスメーカーを紹介してもらって、当初はそこにしようかと思って、そのハウスメーカーの住宅展示場にも見に行ってました。
さっき言ってたハウスメーカーさんなんですけど、実は検討するだけじゃなくて、仮契約もしていたんです。

--そうなんですか!?
それは・・・変わったのは、さっきの掘り込み駐車場が原因だったのでしょうか?

ご主人―そうですね、変わった原因は色々ありまして。
当初、予算はこれだけで建てたいんですというのを伝えていたんです。
じゃあそれで進めましょうって、仮契約迄進んだんですが、途中で概算これぐらいですってどーんと出された時の金額が、伝えていた金額と全然違ったんです。
最初にこれだけしか出せないって伝えていて、それで大丈夫と言うことを話した上で仮契約をしたのに、いきなり大幅にオーバーした金額が出てきたんです。

奥様―担当の方は、「え、いけるでしょ」って簡単に言われるんですけど。
いや、こっちも結構色々計算した上で、これぐらいの金額までで収めたいと言ってるんで。
家はあくまで住む場所であって、生活が厳しくなるような家を建てるもんじゃないと思うんで。

--そうだったんですね・・・いろいろ詳しくお聞きしたいところですが、あまりお聞きするのも何なので。
先ほどのお話と重複してしまうのですが、土地探しで重視された点は、自然が多いという点の他ございましたら教えてください。

奥様―あとはやっぱり環境です。
子どもを育てていくのに大事なので、治安の良さとか、安全に暮らせるという点を重視しました。
防災面も意識しました。
ハザードマップにかかってないかとかも考えました。

ご主人―あとは、隣家との距離が取れないのも絶対に嫌だったので、ある程度離れているのも意識しました。
あそこまで極端ではないですが、ぽつんと一軒家のような雰囲気が好きだったので、ちょっと似通ったところで探したいというのもありました。

なんていうんですか、窓開けたらすぐ隣の家!みたいなのは、マンションと変わらない気がしてしまって。

車庫の奥に玄関があるのは嫌だったので・・・。
便利じゃなくて良いから、土地にゆとりあのある所が良いと思っていました。

奥様―仕事の関係もあるので、当初は駅が近くて便利なところが良いって言ってたんです。
郊外になると交通の便がちょっと悪くなる、バスで通ったり、買い物も車で行かないといけないので。
でも・・・駅近の物件は隣の家との距離は絶対に得られないので。

ご主人―ニュースとかでも、隣人とのトラブルがあるじゃないですか。
(隣との距離が)近ければ近いほど(トラブルが)あるんじゃないかと思って。
すぐに近所の声が聞こえてくるというのも嫌だなと思っていたんですが、ただ夫婦で意見は違っていたんです。

--そうなんですか?
以前暮らされていたところは、駅からどれぐらいの距離だったのでしょうか?

奥様―以前の家は、徒歩20分の距離でした。
でも全て平坦な道だったので、自転車を利用していました。
なので徒歩20分と言っても自転車をこげない距離じゃなかったんです。

ただ、ハザードマップとかのことも考えると、家を建てるのは違うエリアが良いよね、となりました。

ご主人―やっぱり夫婦二人の時と違って、子どもができると環境とかそういうものを重視したい気持ちが強くなりました。
のびのびしながら、こういう環境(窓から見える緑を眺めながら)で好きなことを見つけてほしいなと思いました。

--お話をお聞きしていて、私も同じ子を持つ親として興味があるのですが、どうしてここまで振り切ることができたのでしょうか?
通勤がとても大変になった気がしますが。

奥様―最初は、どうしても便利ってことを捨てられなかったです。
絶対大変になるから。
ここに来たことで、通勤時間が片道2時間になったんですよ。
毎日、往復4時間です。

なのですごく悩んだんですけど、ずっとそこに通うわけじゃない。
転勤があるので、今は遠くても一生住む場所、子どもの成長に大切な時間を過ごす場所こそ環境の良いところの方が良いなと思って、決断しました。

--なるほど、そういう考え方も素敵だなと、ニワトリと走り回っているお子さんの様子を拝見していると思います。
実行できるかどうかは別ですが・・・

奥様―そうですよね。実際めちゃくちゃ大変ですし、しんどいです。

懲りない人との出会いと家づくり

--では、先ほど仰られていましたハウスメーカーで仮契約迄されたにもかかわらず、工藤建築環境設計室で建てようと思った切っ掛けですが、まずは知った切っ掛けから教えてください。

ご主人―切っ掛けはハウスメーカーに、「えーーーー」って思ったことです。
間取りとかも作ってもらったんですけど、本当にこれでいいの?と思ったのでまた改めて情報収集をしました。
ネットとかYoutubeとかで。
そうしたら、高断熱高気密住宅っていうのがどういうことかを知ったんです。
実は仮契約したところも、高断熱高気密住宅を謳っていたんですが・・・。

奥様―実は主人は最初から乗り気じゃなくって。
そんなわけないやんって、言うんです。
そんな性能で、そんな値段なわけないやん。
どっかになんかある。
僕らが素人やから分からんだけ、見えて無いだけでなんかあるんちゃうかって。

ご主人―僕らは素人なんで、全部お任せするわけじゃないですか。
そんな中で、「お金さえ出してもらったら全部こっちでやりますんで、はいできました!」家をどうぞっていうのかどうも・・・。

奥様―打ち合わせの段階で、こんなことがしたいんですっていう要望を出すたびに、「お金さえ出してくれたら何でもやります」っていう答えばっかりで。

「ここをこうできますか?」って聞いても簡単に「あ、できますよ」って。
「パズルみたいに組み替えるだけなんで大丈夫です」って・・・。
私も細かいことをいちいち言ってしまったんですけど、いつでも「いけますよ」ばっかりで。
出来上がった間取りは、家の真ん中にトイレがあったんです。

素人が見ても、「え、これ行けんのかな」と思って。
で、以前そのハウスメーカーで建てた人に相談して間取りを見てもらったところ、「これはあかんやろ、何回でも言ったらいい」って言ってくれたんです。
そこで何回も言ってみたんですけど、その後もそんなに変わることなくって・・・。

ちょっと一回落ち着こう。
もう一回勉強しなおそう、高断熱高気密と地域名で検索して、上位のところを当たってみたらいいんじゃないかって話になったんです。

ご主人―実は、Youtuberの建築士さんがいらっしゃって、Youtubeの中で「地元でちゃんとした仕事をしているところに、1回相談するのが良い」って言ってたんです。

それを見て、それも1回考えてみようかってことで妻が検索したところ、工藤さんの事務所のホームページが上がってきたので、一回問い合わせをしてみようかってなったのが切っ掛けです。

--そうなんですね。
家づくりとは少しそれてしまうのですが、ホームページの良かった点。
問い合わせようと思った点を教えてください。

奥様―情報がすごいきっちり載せられてたんです。
モデルハウスであるご自宅の情報が、気密はどうとか。
素人なんで詳しくは分からないんですけど、こういう測定をしてこういう結果が出てっていう。
データが全て載せられてたんです。
そこまで載せてるホームページってあんまり見たことなかったので。

ご主人―お家が素敵やったっていうことはもちろんあるんですけど。
データとかも含め、物事に対して根拠が明確に示されていて、説明が腑に落ちたんです。
そこが信用できるなって思いました。
「こんなんパズルみたいに組み替えたらいいんですよ!」とは違うなって・・・。

奥様―初めてお会いさせてもらったときに、ハウスメーカーからもらってた図面を見てもらいました。
そしたら、「こんな部屋いりませんよね」「ここの廊下いるんですか?」っていう、凄い指摘をいただいたんです。
その時にね、「こんな家に住んだら電気代月3万ぐらいかかりますよ」とも言われました。
その間取りには、各部屋にエアコンが必要だったので。

ご主人―廊下があって個々の部屋が独立している。
自分らの親世代の時に流行ったような間取りで、「今こんな家建てる人いないです」って言われたのが決め手でした。

そのことが切っ掛けで、仮契約したハウスメーカーと全然違うなと。
お金さえ出したらできますよっていうのと、問題点を指摘してじゃあどうしようかってなる場合の違いをすごく感じました。
やっぱり一生モノの買い物なので、失敗は絶対にしたくないじゃないですか。
だからこそ、そういう点が大事だと思いました。

奥様―そして、実はハウスメーカーで建てようとしてた時は、掘り込み車庫の件もあってこの土地じゃなかったんです。
違う兵庫の土地で、平坦で真四角の土地だったんです。
でも工藤さんのところなら、諦めたここでも行けるんじゃないかって、一回相談しようってなったんです。
掘り込み駐車場の件を相談したところ、いったん考えてみますとおっしゃっていただきました。
やっぱり、「できますよ!」って即答するわけじゃなかったんです。
でもその後、しっかり調べて計算して、これならいけますって言ってくださって。
理想の形にしてもらえました。

あと・・・、「子ども部屋とかこんなに大きいのいります?」って言われたんです。
確か6畳とか8畳とかで二人分。
もうちょっと小さくて良いですよねって。

ご主人―あと、資産価値を考えた方が良いって、長く住み続けられる資産としての価値がある家を建てた方が良いって言われたんです。

工藤
できた時が1番綺麗なんですよね、ハウスメーカーの家は。
年月をかけて悪くなっていくのがもったいないですからね。
あとは、可変性とか柔軟性って長く暮らし続けるためには非常に重要だと思います。
このお家も、子ども部屋を2つ取っていますが、間の壁には柱が入っていないので、壁を取り外すことができるんです。

--工藤建築環境設計室を知った切っ掛けと決められた理由はよく分かりました。
続けて、スタッフの印象を教えてください。

奥様―実は初めてお会いしたとき、工藤さんが前日にマウンテンバイクでこけて、凄い怪我だったんです。
腕を吊ってたので。

ご主人―本当にすごかったんです。
僕ら来てよかったんかな?って思うぐらい怪我してはって。
病院さっき行ってきたとこなんですって言ってはって・・・。

--そうなんですね。
実は私もリモートで打ち合わせさせてもらったときに、顔を怪我されていてびっくりしました。

ご主人―え、顔ですか?
顔は気が付きませんでした。

小坂田―
それは別々のタイミングですね、実は2回あるんです。
自転車でこけて怪我したの。
I様の時は、腕を怪我した時だと思います。
工藤は懲りないんですよ。

ご主人―そうなんですね(笑
スタッフの方の印象・・・。
今まではハウスメーカーに行っていたので、第一印象がすごいんです。
とても明るくて営業職!って感じが。
なので・・・最初に誤解が無いように言いますけど、今はもちろんそんなこと思ってませんよ。
アドバイスも的確やし、提案もしてくれるし、疑問も提示してくれるし・・・でも、正直に言うと、ちょっと怖かったです。

奥様―最初が、以前の事務所をピンポンさせてもらったときに。
ガチャってなって「どうも」って・・・ちょっと暗いイメージで。
打ち合わせをするうちに、頼りになる人やなって思ったんですけど。

(以前の)事務所が本当にこじんまりされていたのもあって、暗さを感じました。
それまではハウスメーカーの事務所どころか、毎回豪華なモデルハウスで打ち合わせをしていたので、余計その対比を感じました。

住宅展示場って、いくつものハウスメーカーさんのモデルハウスがあるので、中には凄い綺麗な人が、綺麗な姿勢で立ってはるんです。
こんなジーパンで入られへんな・・・私たち場違いよねって一歩引いてしまうのもあったので、こじんまりした事務所に落ち着いた面もありました。
スタッフさんの印象も、ちょっと暗いというか職人気質の人が多いのかなと思いました。

工藤―
人見知りするスタッフが多いんです、僕も含めて。
多分全員職人気質というか、いくらお金もらっても嫌な仕事は嫌っていうのが出てしまうんです。
だからこそ、この人のために良いものが作りたいって思う仕事ばかりしたいと思いますし、Iさんのお家を作るときも絶対良いものを作るってみんなで思ってました。

ご主人―
ありがたいですね。
私たちも、第一印象怖いって言いましたけど、お話はしやすかったです。
なんかちょっと似てるっていうか、価値観が合うなとは思いました。
ニワトリ飼いたいって言ったときも、工藤さんが「自分もなんです!」って反応してくれたぐらい。

工藤―
価値観の合う・合わないはありますよね。
求められているものが全く違うと、やっぱり良さは出ないです。

ご主人―イメージを伝えるのも、やっぱり言葉で伝えるのってすごく難しくて。
でも、箇条書きで良いですよって言ってくれたんです。
なのでA4の紙に私たちの希望を羅列してお伝えしたんです、お二人に。
それを見せたら、ちょっと検討しますねって言ってくれ。
伝わったかな?って心配だったんですけど、次の打ち合わせは伝えた希望が全部詰め込まれた図面になってたんです。

その図面が、実はこの家とほとんど変わってないんです。
トイレの数を減らしたぐらいで。

奥様―変わってないよね。ほぼほぼ。

小坂田―
そうですね。基本形は変わってないですね。
トレーニングルームがあって、ここにあるリビングがあって、離れがあるっていう形は変わってないです。

--では、離れもトレーニングルームも、箇条書きにされた希望の1つだったのでしょうか。

ご主人―いえ、ホームジムに関しては、ホームジムのつくり方っていうホームページのURLをお二人に送らせてもらいました。
それをお二人ともしっかり見てくれた上で、ジムは1階が良いと思いますっておっしゃっていただきました。

最初2階を考えていたんですが、こういう理由があるから1階が良いと思うって言っていただいて。
いちいち納得できるんです。
こっちが出した質問に対して、工藤さん小坂田さんからアンサーが来る。
その答えが納得できるから、信頼度がどんどん上がっていきました。

奥様―なんで?って聞いて「なんとなく」って言われたら、なんとなくの意味教えてって思うんですけど、毎回結論と理由がセットなんです。

ご主人―さっき、最初2階を考えてたといったんですが、ハウスメーカーの時は2階だったんです。
実は、「え!?これ2階でも行けるんですか」って聞いたら「行けますよ」って言われたんですが、ほんまに行けるんかなと思いながらも、いけるんやったらいけるんやろうなーぐらいに最初は思ってたんです。
素人ですから。

工藤―
耐荷重だけで言うと、実際行けるんです。
でも、使い方ですよね。
体を鍛えるために重いものを日々使うわけじゃないですか。
それが住宅の2階にあるっていうのは、日々のダメージが気になります。
だったら気にせず使える1階の方が絶対に良いなと思いました。

いちいち床を気にしながらトレーニングをするのはもったいないですし、正直上(2階)でトレーニングしてると下の部屋とかすごいことになりますからね。
1階だと下のこと気にせずに自由にトレーニングできるって思いました。

平米400キロぐらいは、確かに過重の計算しているので構造計算ではトータル的には行けるんです。
でも家ですからね、使いやすさと長い目で見ないといけない。
計算上問題なくても、やっぱり理屈で考えると2階はやめた方が良いって判断しました。

--では、家づくりでこだわられた点というのは、欲しかった設備というのも大きいと思うのですが、基本は検索の切っ掛けになった高断熱高気密住宅にあったのでしょうか。

奥様―そうですね。
以前住んでた賃貸が、冬場クーラーでも入ってるんかなっていうぐらい隙間風がひどくって寒いうえに、夏は明るいんですけど、とにかく暑くて。
日差しが差し込む感じが、とてもじゃないけどカーテンは開けられずずっと閉めっぱなしで。
そうしないとクーラーが一切効かない家だったので。

ご主人―相談させていただく中で、工藤さんのお家(モデルハウス)を見させていただいたことがありました。
ちょうど今くらいの季節(6月下旬)だったので、もうちょっと真夏になったほうが、この家の涼しさが分かるって言っていただいて、真夏にもう一度寄せてもらったんです。
すっごい涼しかったんです。
クーラー停めてはったのに、涼しくて。

奥様―こんな涼しいんですかって驚きました。
当時私たちが住んでたエリアと、めちゃくちゃ離れてるわけじゃないのに、こんなに違うっていうのがびっくりした体験でした。

ご主人―こんなに涼しいのに、電気代も安くなるっていうから驚きで。

奥様―実際、電気代がすごく安くなりました。

良い家で、本当に性能が良いってこういうことなのかっていうのを、体験させてもらっています。
そういう家を設計してもらって、そこに住めるっていうのは、 本当に幸せですね。
良い人と出会えたなっていうのは、ほんまにもう感謝です。

--では、こだわりたいポイントは全て詰め込めたのでしょうか?
これは諦めたなっていうようなことや逆に強くこだわられた点はありますか?

奥様―諦めたことは別になくて・・・。
こだわったというか分かりませんが、家を建てるのは一生に一度なので、家づくりに何か参加したいっていうのがありました。

で、漆喰を塗るのに参加させてもらいました。
工藤さんには、大変ですよと散々言ってもらったんですけど、ちょっとやってみたいっていう私らのわがままを聞いてもらって、(左官の)親方さんを紹介してもらいました。

工藤―
これが分離発注の面白いところですよね。

--どのあたりを塗られたんでしょうか?

奥様―この部屋と繋がっている部分以外、全部です。
個室や物置とか。
LDKはお客様が来られるし、職人泣かせのカクカク(凸凹の多い)してる部屋なので職人さんにお願いしました。

ご主人―最初に塗った部屋の時はどうなるか不安だったんですけど、ドンドンうまくなっていくんですよね。
不思議でした。
最初は道具のコテに漆喰を乗せることもできなかったので。

大変でしたけど、達成感が凄かったです。

奥様―やりきったわーって感じで(笑

--期間はどれぐらいかかりましたか?

奥様―3週間弱です。
私たちがやりたいっていうのに合わせて、スケジュールや段取りを組み直していただいたので、申し訳なかったと思うんですけど、やって本当に良かったです。
頭から顔も体も、全員漆喰だらけになりましたけど(笑

子どもたちにとっても良い思い出になったと思います。

--そうだったんですね。
では、建物の希望。
離れはもともと希望されていたのでしょうか?離れにした理由がありましたら教えてください。

ご主人―自宅で仕事をしているので、仕事部屋が欲しいと伝えていました。
離れは想像していなかったんですけど。

小坂田―
工藤が提案させてもらいました。
提案する直前まで、どうしよーって言ってたんですけど、仕事は絶対にしやすくなるし、一回提案してみようって!

--なぜそんなに悩まれたんでしょうか?

小坂田―離れは、もう一個基礎から必要になるからです。
ドアももう1枚必要ですし、やっぱり一部屋作るのとはかかるお金がまったく違うんです。

--なるほど、そういうことなんですね。
I様は離れの案を見たときに驚かれなかったのでしょうか。

ご主人―驚きました。
一部屋もらえれば良いと思ってただけなので。
でも、この形良いよねってなりました。

奥様―仕事なので、切り替えの事とか考えると、良いんちゃうって。
そのまま採用させていただきました。

--確かに自宅が事務所となると切り替えは重要ですね。
ではその離れも含め、率直にここ自慢したいって思うポイントを教えてください。

ご主人―では私から。
そとん壁の母屋と焼杉の離れの外観ですね。

--外壁かっこいいですよね。

ご主人―かっこいいでしょ。
前の道路が、地域の散歩コースになってるんでが、妻が「建築士さんですか?」って声かけられたりもしたんです。

奥様―
中学生がね、前の道路を自転車で走りながら「個性きつい家やなー」って言ってたり(笑

ご主人―別に奇抜なことはしていないんですけどね。
この建物が万人の方に当てはまるわけではないと思うんですけど、ここの風景にはなじんでるかなとは思っています。

--こだわりが強そうとは思いませんが、I様ご家族様のためだけに建てられた建物だという雰囲気はありますね。

ご主人―そうなんです。
外壁に使った材料も、はじめて聞いたんですけど、凄いエコな素材で。

奥様―説明してもらえばもらうほど、良い素材やな。使いたいなってなりました。

ご主人―これやな、みたいなね。

工藤―
まあ、コストがね、どうしても高くなってしまうんですけど、張り直しやコーキングのやり直し、ペンキの塗り替えが無い分長い目で見ると安く済むんで。

ご主人―そうなんですよ。
娘もすごく気に入ってまして、この外壁から我が家の事を泥の家って言うんですよ。
友達にも、「泥の家に遊びに来て」っていうぐらいにね、すごい良いなと思っています。

--でも、よく考えると面白いですよね。
個性があって、奇抜な雰囲気があってと言われるけど。
左官の塗り壁も焼杉板も日本に昔からある素材で、今一般的と言われるどの外壁材よりも歴史は古いんですから。

--ご主人のご自慢ポイントは外観で、奥様は何かございますか?

奥様―私はやっぱり、台所ですね。
アイランド型にしたので子どもがちょろちょろはするんですが、やっぱり動線に無駄が無くて。
通勤に時間がかかるので、朝もそうですし帰ってからもそうですし。
常に時間との戦いなので、無駄が無いのは本当に助かっています。
イライラすることが無いので。
キッチン自体にもこだわりましたし。

--キッチン自体のこだわりも教えてください。

奥様―いいなと思ってたキッチンがあったんですけど、予算オーバーで。
もう一回しっかり探してみようってなったときに、とにかく丈夫で頑丈な点にこだわりました。
このキッチン、メラミンスポンジでこすっても傷が付かないし、物落としてもほとんど傷が付かないんです。
忙しくってバタバタしていると、やっぱりうっかりってことがあるんで。
その点を気にしなくて良いので、つくづくこれにして良かったなって思います。

それに、キッチンに建つ場所も結構広く取っていただいているので、子どもが手伝うと言ってもぶつかることも少ないですし、後ろの収納も広く取っていただいているので。
何か並べたりとかするのもとてもやりやすいです。

--この広さは希望されたのでしょうか?

奥様―とくにはしていません。

小坂田―実はキッチンがこの位置になったのは、上にすごく大きい構造の梁があったからなんです。
梁を避けてレンジフードのダクトを設置するためにこの位置になったんです。

奥様―そうなんですね!全く知らなかったです。
でも、この動線と広さは本当に良いですよ。
こっちからもあっちからも行けますし、子供が来ても動きの邪魔にならないのが本当に便利です。

実は最初、設計してくださるときに「料理をしながら緑を見たいですか?」と聞いていただいたんです。
その時は特にこだわりもなくて、合理的な感じ。動線命でお願いしますとお伝えしました。
でも今はキッチンに立って緑が見えるのは、気持ち良いですね。

縁を感じた土地購入

ご主人―実はここと隣の土地が空いていたんです。
でも売りに出されてたのはこの土地だけだったんです。
工藤さんと相談しながら、この土地で良いかな?みたいな話をしてたんですが、僕最初の希望がメイン道路から離れたところだったので、売主さんにとりあえず相談してみようって話になって。
不動産屋さんが土地の所有者に手紙を出してくれたんですが、返事が無かったんです。
なので、こっちの土地になったんですが、縁てあるんだなって。
タイミングも良くて、土地の値段がちょうど上り始めるちょっと前だったので、本当に良かったです。

道路沿いというのがやっぱり気になってたんですが、前が公園なので借景が変わらないし先々陽当たりを遮られる心配もないと言われて。
その時はよく分かっていなかったんですが、今はここしかなかったと思っています。
家づくりはタイミングがあるって聞きますが、本当でした。

分離発注は大変だけど透明性が出る

--分離発注について教えてください、ご存じでしたか?

奥様―分離発注は初めて聞きました。
周りに分離発注で家を建てた方がいらっしゃらないので、こんなやり方があるんかっていうのが率直な印象でした。

ご主人―
家を建てるイメージとしては、全部お任せして出来上がったものをお渡ししますとという形なので。
分離発注は、施主と工事会社さんが直接契約して、それを建築士さんがマネージメントするというやり方なので、最初は大変そうやなと思いました。

実際、最初に職人の方一人一人と挨拶をする機会があるんです。
その時、これはちょっとなかなか大変そうやなって不安もありました。
実際、家ってどういう風にすれば良いか分からないので。
なんか水道にしろ、屋根にしろ電気にしろ・・・全て違うのでやっぱり本当にできるかなってすごい不安はありました。
ただ、やってみると透明性が出るんです。
水道はこの水道屋さんがやってくれてる。基礎はこの方がやってくれてるというように、どの業者さんか分かるのはもちろん、誰がということまで分かっているので。
そんなに頻繁に見学に来れたわけじゃないんですけど、それでも分かるっていう。

もちろん大変は大変でしたが、そこはしっかりサポートしてもらえるんで。
打ち合わせの頻度は多くなるんですけど、こんな家が自分の予算内で建てられたっていうのは分離発注だったからなので、本当に良かったですね。

--分離発注で良かったのは金銭的なことだけでしょうか?

ご主人―あとは、職人さんと仲良くなれたことですね。
自分の家を建ててくれた職人さんの顔と名前が一致するというのは、普通のハウスメーカーでは考えられないので。

こういう経験を一緒にさせてもらえたってのは凄い感謝です。

奥様―家づくりでは、言いたいことも言えないまま家づくりが終わってしまった、あまり工事を見ることなく完成したとかいう話も聞くので。
私たちは職人さんと話がしっかりできる分、気分や思いを伝えたときに「それはやめといた方が良いとか」「こういう理由があるからやめた方が良いで」っていうアドバイスをいただけたことが多かったので。
それこそ家って、夢と希望が詰まっているので、こんなんやりたいなって思っても実用的かどうかは分からない。
でも、工藤さんも小坂田さんも職人さん方も、いろんなお家を設計されて建てられた経験がある中で、やめた方が良い理由と共にアドバイスをくれるので。
自分たちでしっかり考えて家を建てた、っていう満足感はすごいあります。

ご主人―ただ・・・やっぱりその分時間がかかりました。
近所の方にも「あんなに人いっぱいで作業してたのに長いことかかったね」みたいなことを言われて。
でも、分離発注は全部手作りなんですよね。
工業製品みたいに、積んできたのを組み立てるようには作れないんで。

奥様―実は床材も当初の予定とは違うんです。
幅がもっと狭いやつで計画していたんですけど、ウッドショックの影響で送っていただいた材があんまり良くなかったらしく。
大工の方が敷き詰めてくれてから「あんまりいい木じゃないよ」って言ってくれて、やり直すようにしてくれたんです。
正直私たちには良し悪しなんて全く分からなかったので、「できました」って言われたら「こんなもんやねんな」みたいに思ってたと思うんです。
でも職人さんが、ここがあかんからやり直しますって言ってくれて。

なんかもう、誠実さとか、本当に信頼できるなっていう。
職人さんが職人さんとして働いてくれてるという感じがありました。

ご主人―この人から直接請け負ってる契約やから。
元請けがあって、下請けがあって。
下請けはどうしても元請けの顔ばっかり見てしまうというのがあると思うんですけど、分離発注は、責任持って自分の仕事をきっちりされてると思うんで、そういう点も良いかなと思います。

今後、こういう建て方をされる方が増えたら良いのになって思いますね。

--ありがとうございます。
では逆に、分離発注で良くなかった点、またはしんどかった点を教えてください。

奥様―やっぱり時間がかかるなとは思いましたね。
そして、人と人の付き合いが重要なので、誠実なお付き合いこそ重要だなと思いました。

ご主人―あとは・・・振り込みが大変でした。
普通にハウスメーカーや工務店さんに依頼した場合は、数回の支払いで終わると思うんですが、毎回それぞれに支払いがあるので、振り込み作業が大変でした。

してもらった作業に対して都度払う形なんです。

小坂田―その月の月末に、その月にやった工事の分を翌月末に振り込んでいただくんです。
先払いは絶対にしないんで。
うちは請求書見て、できていない作業の請求が来てたら止めますし、是正頼んでるのにしてなかったら振込止めますから。

ご主人―きっちりマネジメントしていただいてるので、こっちは振り込みだけなんですけど。
それでも大変でしたね。

一度きりの家づくりは思い出に残るものが良い

--事前情報で、DIYを積極的に取り入れたいというご希望だったとお聞きしたのですが、先ほどお話しいただいた壁の漆喰以外も何かされたのでしょうか?

奥様―蜜ろうワックスは自分たちで塗りましたよ。
あとは・・・気密を取る黒いテープも一緒に貼らせてもらいました。
床回りの穴を埋めたりとか。
これは夫婦二人で参加させてもらって、工藤さんの息子さんも一緒にしてくれました。

--お聞きすればするほど、アットホームな現場ですね。

ご主人―アットホーム確かにそうですね。
そうなると言いたいことも言いやすくなるし、何か要望を伝えるときに構えなくて良くなるのが良かったですね。
距離が近くなりました。

--職人気質でしゃべりにくかったとかいうことはなかったですか?

奥様―イメージはありました。
そして、中にはそんな職人さんもいらっしゃいました。
左官屋の親方も職人さんのイメージが強い方でした。
でもこれは私の個人的な話なんですけど、親方が私の亡くなった祖父にそっくりだったんです。
生まれ変わり?って思うぐらい。
息子さんも一緒に来てくださってたんですけど、いつも音楽を聴きながら作業をされてて、娘と一緒に踊ってくれてたりもして。
お子さんがいらっしゃるとおっしゃってたんで、子どもにも慣れてらっしゃいました。
職人さんの手を止めてしまってる感もあったんですけど、楽しかったですね。

--家づくりの過程で不安だったことや心配だったことを教えてください。

奥様―不安・・・なかなか難しいんですが。
ウッドショックはやはり大変でした。
手に入るのかどうか分からない部分もあったので。

ご主人―それ以外は・・・多分色々その時にはあったと思うんですが、思い返すと特にないというか。
いくら考えてもウッドショックが大変やったなーという感じで。
やっぱり社会情勢って不安になりますよね。
先ほど言った通り、ここの土地も私たちが買った後、周りは倍近く値上がったりもしたので。
あの値段を見たときは、あのタイミングで決断しててよかったーって思いました。

--では最後に、これから家づくりをされる方に家づくりの先輩としてアドバイスをお願いします。

奥様―
アドバイスですか?
アドバイス・・・やっぱりこのネットの時代なんで、色々と調べてから行かれると思うんです。
家を建てはる方も。
情報の取捨選択が難しい時代だからこそ、疑問とかこうしたいと思ったことはドンドン伝えた方が良いかなと思います。
迷ってることでも、相手はプロなので的確なアドバイスが返ってくるので。
素人目線で良いと思ってても、プロが見たときは違うということもあるので。
なので何でも聞いてみて相談してみるっていうのが良いと思います。

ご主人―アドバイスですね。
やっぱすごい悩んで作った方が良いと思います。
「ま、いっか」っていうのではなく、ちょっとでもこうしたいというのがあるんだったら、それは全部言った方が良いと思います。
遠慮せずに。
なんか、言ったらめんどくさいかなとか、めんどくさいこと言ってきたなって思われることを心配して我慢したら、家が建った後絶対に後悔すると思うんです。
完成した家を見て、「あの時言ってたらここ変わってたんかな」とか思うぐらいやったら、一生に一度の家づくりなので絶対に伝えた方が良いです。

3回家を建てたら満足する家が建てられるって言いますけど、そんなんできないじゃないですか。
一生に一度の買い物なので、絶対に妥協したらダメだって。
やっぱりきっちりした思いを伝えあって、希望を伝えあえば1回目で理想の家が建てられるので。

--最後と言いつつ、もう一つ質問させてください。
家づくり、楽しかったでしょうか?

奥様―面白かったです。

ご主人―はい、面白かったです。
やっぱりね、ここで建てたから、これだけ思い出が残ってる。
最初、ハウスメーカーの時ってね、あんまり乗り切りじゃなくて、母ちゃんの好きにすればぐらいの想いでした。
俺はジムがあれば良いからぐらいで。
でも、工藤さんところで建てることになって、あれ言おうかな。あれ言ってみようかなっていうのが結構あって。
気が付いたら好きにしたらなんて気持ちが全くなくなってました。

奥様―私はそれがありがたかったです。
1人で全部やってたら、後から母ちゃんが決めたことやんって言われるとね・・・。

家族の家になったなって思います。
みんなの想いが詰まってて、子どもたちも参加して壁も塗れたので。
凄い真っ白になって、頭とかもすごいことになりましたけど、本当に良い思い出で楽しかったです。