2019/08/27 | ブログエコ住宅・住環境・温熱環境

パッシブハウス・ジャパン主催「パッシブデザインのための住宅設備を考えるシンポジウム」に参加して思う事

工藤住環境設計室の工藤です。
久々のBLOG更新です・・・。
昨日は私が所属する「パッシブハウス・ジャパン」主催のシンポジウムに参加致しました。
特に印象に残った部分をピックアップしたいと思います。

断熱・気密は故障しない
当たり前の事なんですが、とても印象に残った言葉です。
躯体性能である断熱性能や気密性能は経年劣化により、若干の性能低下はありますが、設備機器の様に故障や取替えが必要無いです。
私は、高価な設備機器を採用するコストを、躯体性能向上に当てるべきだと考えております。
そして、シンプルな設備機器を分散配置する事により、将来の機器更新性を高める事が出来ると考えております。
今、流行りの全館空調・全館換気・・・。住宅には必要無いと思います・・・。

全館空調・換気の天井裏などのダクト結露問題
パッシブハウス・ジャパン理事である森みわさんの右腕的存在である、三原さん。
この方は住宅設備設計・施工のスペシャリストです。
全館空調・換気を行うのであれば、電気工事会社がこれらのダクトを施工するのでは無く、専門の換気・空調屋さんに工事を依頼する必要があるとの事です。
ダクト継手の断熱施工不良や接続不良により、その部分の結露や空気漏れは良くあるそうです・・・。
天井内での結露・・・。カビの発生が怖いですね。

第一種換気だけが省エネじゃ無い!第三種換気も制御次第では省エネ!
一般的には第一種換気の熱交換換気が省エネの代名詞ですが、風量を可変する事によっては第三種換気も十分に省エネといったお話です。
先ず、なぜ居室の換気が必要といったお話が必要です。
建築基準法では、居室においてその部屋の空気が1時間に50%入れ替わる換気が必要と規定されています。
これは、建材や家具から揮発される有害物質を排出する為です。(いわゆる、シックハウスです)
しかし、有害な物質を含まない建材や家具を使用した場合、1時間に50%も空気を入れ替える必要は無いと考えております。
その場合、どの様にして換気風量を決めるのか?
炭酸ガス(CO2)濃度です。
人や生き物は酸素(O2)を吸い込み二酸化炭素(CO2)を吐き出します。
外気より酸素を取り込み、外気に二酸化炭素を排出する為に換気が必要です。
第三種換気にて、室内の二酸化炭素濃度により、換気風量が可変出来る制御を行う事が出来れば、とても省エネになります。
例えば、日中、誰もいないお家の場合、二酸化炭素濃度が上昇しないので、換気風量を出来るだけ少なく出来ます。
これにより、換気扇消費電力を抑え、冷暖房負荷を減らす事が出来ます。
第一種熱交換換気まで、省エネ効果が有るかはわかりませんが、第一種換気のフィルター清掃や、機器のイニシャル・維持管理コストを考えると、第三種換気も良いと思いました。

P.S.寅次郎、大きくなりました!(8月末現在、1歳4ヶ月です)