2017/06/02 | ブログ耐震・構造について

住宅広告の「地震に強い!」には要注意?

注文住宅を新築するにあたって、選択肢は様々です。設計事務所、ハウスメーカー、工務店等色々とありますが、どこで建てても『地震に強い』住宅が建つと思っていませんか?

それは大きな間違いです!

要注意!!!!

住宅広告を見ていますと

「地震に強いベタ基礎を採用しております!」

「構造材には集成材を使用しているので地震に強い!」

といった謳い文句をよく目にしますが、これには何の根拠もない場合があるので要注意です!

構造計算・・・してるよね?

重要なのは、ちゃんと構造計算をした上で基礎や構造材の仕様を決定しているかどうかです。

「えっ?当然、構造計算して決めてるんじゃないの?」

と思うかもしれませんが、そうとも限りません。

なぜかといいますと、一般的な規模の木造2階建て住宅の場合、確認申請で構造計算書の提出を求められることはなく、構造の安全性に関しては「設計者(建築士)の確認のみでOK」という特例があるのです。

これを『四号建築物確認の特例』と言います(『四号特例』と言うこともあります)。

この特例をどこからか勘違いした設計者(建築士)は

「木造2階建て住宅だから、構造計算は不要なんだ」

と勝手に自分の都合が良い様に解釈。

『確認申請時に構造計算書の提出不要』⇒『構造計算不要』と勘違いしている設計者(建築士)が多いのです(-_-;)

建物を設計・建設する上で必ず守らなければいけない『建築基準法』『建築基準法施行令』。

法文の書き方が難しい、言い回しがまどろっこしい・・・。

もっと噛み砕いて書いてくれれば、勘違いする設計者(建築士)も減ると思うんですが(-_-)

設計者の確認って?

では、ここでいう「設計者の確認」とはどういうものなのか?

これは建築基準法で定められている簡易な方法(仕様規定)での検討のみであり、構造計算を行うことはありません。

この検討で保証できるのはいわゆる耐震等級1の耐震性能となります。

耐震等級とは

さて、ここで耐震等級という言葉がでてきましたね。

これについて少しご説明させて頂きます。

耐震等級には1~3まであり、それぞれの耐震性能については

耐震等級1:建築基準法と同程度

耐震等級2:建築基準法で想定している地震の1.25倍に耐えられる

耐震等級3:建築基準法で想定している地震の1.50倍に耐えられる

となってきます。

耐震等級は数字が大きいほど、耐震性能が高いです。

耐震等級1は、どのくらいの耐震性能?

ちょっと横道にそれたお話を致します。

耐震等級1は下記の様に提言されています。

・数百年に1度の大地震で倒壊・崩壊しない

・数十年に1度の中地震でも損傷しない

国土交通省のHPでは、大地震は震度6~7程度、中地震は震度5強程度とされています。

建築基準法の耐震は、『人命が第一優先、建物はどうなっても構わないから人命を守れ~!!』というような性能です。

熊本の地震では震度7の大地震が、数百年に1度どころか短期間で2度来ましたよね。

と、言うことは、耐震等級1の建物は倒壊・崩壊してしまいますよね。

事実、昨年の熊本地震では築年数の浅い耐震等級1の木造住宅の多くが倒壊及び半壊しており耐震等級3の木造住宅については、そのほとんどが被害なしというデータがでています。

命が助かっても、もう住む家がありません・・・。

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最後に

もうお分かりかもしれませんが、耐震等級1とは建築基準法による最低限必要な耐震性能となってきます。

果たしてこれで本当に地震に強い住宅と言えるのでしょうか。

しかも構造計算しているかどうか不明・・・、仕様規定も満たしているか不明・・・(-_-;)

だって、誰もチェックしていないんですからっ!

計算していなくても、規定を満たしていなくても、計算はしていても間違っているかもしれないけど・・・。

世の中にはたくさん住宅が建っているのです。

 

ご自分のお家は安全に建てたいですよね!

工藤住環境設計室では自社で構造計算を行い、耐震等級3を標準仕様としております。

建ててから後悔しない為にも木造住宅をご検討の方は是非一度ご相談下さい!