2019/09/06 | ブログエコ住宅・住環境・温熱環境高気密・高断熱住宅

湿気対策講座の要点まとめ

工藤住環境設計室の工藤です。
先日、名古屋で開催された湿気対策講座に参加致しました。
主催は、一般社団法人ミライの住宅、講師は森亨介さんです。
今回の講座の主な内容は、なかなかイメージしにくい湿気(湿度)についてのお話でした。
私がお話を聞き、印象に残った部分をご紹介致します。

小屋裏エアコンは空気が動かないと効率が悪い
エアコン1台で家全体を冷房する、小屋裏エアコン。正しい位置に設置・計画を行わないと、冷やすことが出来ない。
エアコンから吹き出した空気は冷たく重い空気なので、下に流れます。そして、吹き出した風量と同じだけの空気が還って来るルートを確保する事が重要です。
当たり前の事なんですが、建物の計画と上手く両立するのは、案外難しいです。
エアコンの吹き出し風量は意外と多く450m3/h程あります。
気流を感じる事無く、空気をエアコンに戻す為には、結構大きな空気の通り道(吹抜け等)が必要となります。
この通り道の大きさは計算にて求める事が出来ます。

エアコンの運転は定格能力の80%程度が良い
建物の燃費計算行う事により、必要なエアコンの能力を算定する事が出来ます。
この時、定格能力ギリギリで選定するのでは無く、また、余裕を見すぎることも無く、定格能力の80%程度が、最もエネルギー効率が良い。(省エネ)

加湿器の必要能力は計算にて算出出来る
冬場に必要になる加湿器。隙間風が少ない高気密住宅であることが前提としたお話ですが、加湿器の能力は求める事が出来ます。
冬場の外気の温湿度と室内設定の温湿度より絶対湿度を算出し、その差に換気量を掛け合せる事によって、加湿量を算出する事が出来ます。
換気に熱交換換気(潜熱交換の出来るタイプ)を採用しているのであれば、その効率を考慮する事により、加湿量を減らす事が出来ます。
少し難しいお話になりましたが、間違っても何畳用タイプ・・・、みたいな選び方はやめましょう。

熱交換換気において全熱交換型or顕熱交換型、どちらを選べば良いのか?
関西地方において、熱交換型換気を選んだ場合、全熱交換型なのか顕熱交換型なのかを考えた場合、迷わず全熱交換型をおすすめします。
なぜなら、関西の夏はジメジメ湿気の高い気候だからです。
エアコンにて空調された涼しく乾いた空気の顕熱(温度)だけを熱交換するのでは無く潜熱(湿気)も交換する方が、断然省エネであり快適です。
余談ですが、ドイツの夏は外気が30度を超える温度であっても、湿度が30%台なので潜熱(湿気)の熱交換がほとんど必要無いようです。
よって、顕熱交換型の熱交換換気が採用される事が多いようです。

関西の夏の夜の空調はとても難しい
先程もお話した通り、関西の夏は湿気が高く、とてもジメジメした気候です。
日中は窓からの日射熱や屋根・外壁からの熱伝導により、顕熱(温度)を上昇させる要因が多く、エアコンは温度を下げる為にしっかりと運転を行います。
その時、室内の湿気はエアコン内部にて結露水となり、外部へ排出されます。
温度と湿度がバランス良くコントロールする事が出来ます。
しかし夜になると、窓からの日射熱も無く、日中に比べ外気温も下がる為、屋根や外壁からの熱伝導も減ります。
エアコンを運転していると、簡単に設定温度になります。が・・・。
そうです。湿度は快適なところまで下がらない事が多いです。
特に、寝室などは人の呼吸による湿気の排出もあり、温度は低いが湿度が高い状態なることが御座います。
この現象を改善する為には、幾つかの方法があります。
例えば、
・熱交換換気を全熱交換とする。
・除湿器を用いる。
・顕熱(温度)負荷をあたえる。
・エアコンをドライ運転にする。
条件によって、方法を検討する必要が御座います。
また、この現象は家全体の空気を循環する事により改善することも御座います。
有名なハウスメーカーさんが採用するある全館換気・空調方式では湿度を取ることが出来ず、低温・高湿状態になり、とても不快な温熱環境だそうです。
大切な事は
断熱性能・気密性能を備えた高性能な建物に、設備機器にて空調換気を行うことです。
性能の悪い建物に高性能設備機器を入れてごまかすのは、一番してはいけない事です。