2014/06/25 | ブログエコ住宅・住環境・温熱環境

夏の逆転結露について【その2】

前回に引き続き、逆転結露についてお話したいと思います。

『夏場の逆転結露はナゼ起きるのか?』

夏場の壁体内結露は冬場とは逆のメカニズムによって発生致します。

冬場は室内の湿った空気が壁の中に侵入し、外壁近くの冷えた部分に触れることによって発生しますが、夏場の逆転結露は湿った温かい空気が室内を冷房することによって、室内付近の冷やされた部分に触れることによって発生します。

しかし、夏場の場合、冬場と比べて室内と室外の温度差が大きく無いので発生しにくいはずです。

ここで重要なのが『蒸し返し現象』です。

蒸し返し現象とは夏場、外壁面に日射を受けるとどんどん熱せられ表面温度は50℃近くまで上昇します。

空気は温度が上がればより多くの水蒸気を蓄える事が出来ます。

この、湿気を多く含んだ空気が壁体内室内側の冷えた部分に触れる事により、結露が発生致します。

では、どの様にすれば逆転結露を防ぐ事が出来るのか解説致します。

①外壁面の温度上昇を防ぐ
外壁通気層を設け、熱の排出及び湿気の排出を行う事により改善出来ます。

②冷房温度を高める
冷房温度を28℃程度に設定し、外部との温度差を出来るだけ少なくする事により改善出来ます。
(28℃設定でもしっかり除湿する事により、快適に過ごす事が出来ます)

そして、最後の方法は『防湿シート』を無くすです。

冬場の内部結露を防ぐ目的に必要な室内側の防湿シートですが、実はこれが夏場の逆転結露に影響を与えています。

防湿シートを無くす事により、蒸し返し現象にて発生した水蒸気が防湿シートにせき止められる事がなく、壁の中で結露する事が防げます。

しかし、防湿シートを無くす場合には冬場の壁体内結露が発生しないように結露計算(定常計算など)を行う必要が御座います。

最後に、冬場の内部結露と夏場の内部結露のどちらを重視して設計を行うのかは、気候風土に大きく影響されますので、お家の場所によって検討すると良いでしょう。